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自治体の皆さまへ

未来を担う子どもたちのために(2)

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茨城県鹿嶋市

■賢さを身につける保育や地域子育て支援への取り組み
中西:現在私は、大野地区で未就学児を中心とした保育や地域子育て支援などに携わっています。初代大野めぐみ保育園園長で、先代法人理事長である中西(なかにし)シゲが、昭和33年に始めた『慈眼寺(じげんじ)幼児園』が私たちの子育て支援の始まりです。そして、昭和44年に『大野めぐみ保育園』と改称し、平成10年には『大野ひかり保育園』を開園し、2園体制で、現在407人のお子さんへ保育を提供しています。開設当初からの保育信条を『ありがとうございます、ごめんなさいを素直に言える子ども』と定め、子育て支援は目の前の親子の困り感から始まることを常に意識し、これまで保育を進めてきました。
田口:中西初代園長の熱意のもと、小学校入学前のお子さんたちへの保育が大野の地で始まったのですね。私自身は実家が自営業を営み、家族や親せきなど限られた社会の中で育ってきました。幼稚園に入園してからは、同級生とともに遊び、学ぶことで世界が広がり、今でも良い思い出です。中西先生は、これまで保育一筋で歩んでこられた訳ですが、その経験の中で、特に苦労された点はありますか。
中西:子どもが生活をともにする保育の現場では、子ども同士のトラブルは付きものです。しかし、このトラブルこそが『社会性』を身に付ける良い機会になると考えます。まず、保育士自身が子どもたちの気持ちを汲(く)み取り、その上で子どもたち自身に考えさせ、伝え合い、今後の関係性まで導き出していく。この繰り返しから他者とのやり取りを学んでいくのです。保育士が子どもの気持ちを汲み取る過程は、子どもたちが相手の気持ちを考えるためのお手本になるものです。そのため、しっかりと保育士への研修を行っています。私自身、茨城県保育協議会の研修委員会に長く関わることで、保育について深く広く学ぶことができました。その学びを職員だけでなく、保護者に対しても定期的な講演会を開催することで、ともに考える場を作っています。
田口:さまざまな人々とのやり取りの中で、上手くいく時やいかない時、その時々に保育者、あるいは保護者がどう対応をしていくか、中西先生が、子どもの学びを意識した保育をされていることがわかりました。まさに、私が目指している社会で生きていくための『賢さ』に通じる支援と考えます。
中西:私たちは、通常保育以外にも『一時預かり』や『学童保育』、『地域子育て支援センター』も行っています。特に、地域子育て支援センターについては、平成10年から保育園の遊戯室を使い、未就園親子を対象に支援を始めました。私たちは、当初より、子育て中の親子を優しく見守る地域を目指し、地域の方々にも参加いただき、自然に親子との交流ができるようプログラムを組み立ててきました。他の保育園などで実施する子育て支援事業についても、各園の特徴を生かし運営されていると思いますが、中でも市営の『セイビ堂ドリームパーク』は、近隣では珍しい単独実施の運営形態を取っているため、ともに子育て支援を実施する立場としても大いに注目しています。
田口:市営の地域子育て支援センターは、平成10年度から支援を始め、令和5年度には『セイビ堂ドリームパーク』としてリニューアルオープンし、昨年度は、35,749人もの親子に利用いただきました。今後、他の支援センター同様に、本市の地域子育て支援の要になればと考えています。
中西:私たちも、『大野地区の子育て支援は大野めぐみ・ひかりで』と言っていただけるよう、市をはじめ関係者と情報共有しながら、地域の人たちとともに、子どもたちを育てていくための地盤を固めていきたいと考えています。

■今後の子育て支援への展望
箕輪:現在市内には、鹿浦小児科医院、かとう小児科クリニック、三笠小児クリニックがあり、神栖市内には武藤小児科医院、小山記念病院付属ふかしばこどもクリニック、しょうのこどもクリニックと、合計6件の小児科があります。二次救急病院としての神栖済生会病院小児科と合わせれば、鹿嶋・神栖両地域での小児医療体制は、少ないながらも整いつつあると考えています。また、鹿浦小児科、武藤小児科では、小児科医になったお子さんたちが戻られ、小児医療体制はさらに充実するだろうと思っています。加えて、鹿浦小児科の林先生は一般の小児診療だけでなく、心や発達の診療の充実を目指し研修を重ねていると伺っていて、発達障がい児への支援で、大きな役割を担っていただけると期待しています。私も地域の小児科医として、もう少しの間頑張ってみようと思います。
中西:私たちはこれまで、多くの子どもたちと関わる中で、集団生活に馴染(なじ)むことが難しい子どもたちの保育も経験しましたが、病気や障がいを理由に、受け入れを断念せざるを得なかったケースもありました。しかし、昨今の医療の進歩や、その子に関わる周囲の方々の理解で、対応が可能となってきました。現在私たちの園では、管理が必要な病気を抱えながら通園しているお子さんがいます。主治医からさまざまなことを学び、親御さんなどの協力を得ながら保育を行っています。命に関わる保育のため、緊張する場面もありますが、それに負けないくらい、その子は園での生活を楽しんでいます。また、周りの子どもたちがその子をいたわり、ともに成長していく姿には、勇気をもらい、『保育を受け入れて良かった』と感じています。このように、さまざまな事情を抱えたお子さんたちが、身近な場所で他の子どもたちとともに育ち、それを見守ることができる支援者として、市の子育て支援の一翼を担っていければと思っています。
田口:改めて、子どもたちが健やかに成長していくためには、見守る方々の存在は大きく、大切であると感じました。お二人をはじめ、そのような方々が地域にいることで、本市の子どもたちは育っていくということを改めて実感しています。また、今後の展望について、心強いお話をいただき、ありがとうございます。
本市の今後の子育て支援は、『元気いっぱい 賢く育てる』ために、妊娠中の支援から始まり、出生から就学前までの育児支援、そして社会性を学びながら自立に向け力を得ていく学童・学生への教育支援が大切になると考えています。これからも、鹿嶋の子どもたちが、元気いっぱいに賢く育つよう、それぞれの成長に合わせた支援を行っていきますので、引き続きのご支援とご協力をお願いします。

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