近年、気候変動の影響により、全国的に豪雨災害が激甚化・頻発化しており、本県においても、これまでに経験したことのないような災害が起こるおそれがあり、防災・減災対策の重要性はより一層高まっています。
県では、河川の氾濫を防ぐために、県内各地で河川・ダムの整備を計画的に進めており、川棚町では河川改修とともに石木ダムを建設することにより、地域住民の安全の確保を図っていきます。
完成年度:令和14年度
事業費:420億円
〔執行済額…約210.4億円 執行率…約50.1% ※令和5年度末時点〕
※位置図は本紙をご覧ください。
■石木ダムの目的
石木ダムは、川棚川の洪水被害軽減(治水事業)と佐世保市の水道用水確保(利水事業)を目的として、県と佐世保市が共同で建設を進めています。
◇治水事業
市街地を流れる川棚川は、昭和20年以降、大雨により4回氾濫し、周辺地域は洪水被害に見舞われてきました。河川改修と併せた石木ダム建設により、流域の安全を確保します。
また、石木ダムの建設により、渇水時でも水の流れが安定し、既に利用されている水道水(川棚町・佐世保市)や農業用水の確保、動植物の保護、景観の保全などの流水の正常な機能が維持されます。
◇利水事業
県北地域は、大きな河川がなく、地下水にも恵まれないことから水資源に乏しく、特に、佐世保市の水源不足は深刻です。平成6年から7年にかけての戦後最大級の渇水では、約9カ月間の給水制限を行うなど、住民の生活に大きな影響を及ぼしました。現在もたびたび渇水の危機に見舞われており、石木ダムの建設により新たな水源を確保します。
■ダム周辺の地域振興
石木ダムの建設により環境が著しく変化する地域の振興を図るため、ダム周辺の道路や河川の整備、公園や広場の新設などを含めた水源地域整備計画の策定を進めています。
他県では、観光やレジャー、イベントの拠点としてもダムが活用されています。
◇親しまれる憩いの場(羽地(はねじ)ダム:沖縄県)
川遊びができる広場などが整備されており、イベント会場や憩いの場として利用されています。
◇ダムから生まれる賑わい(三国川(さぐりがわ)ダム:新潟県)
ダム周辺でロードレースが開催されるほか、ダムと観光地を自転車で巡る観光コースも人気です。
■石木ダム(治水事業)の再評価
県の公共事業については、おおむね5年毎に事業の継続・中止などの対応方針について、県公共事業評価監視委員会(再評価委員会)で審議されています。この審議では、事業の進捗状況や社会情勢の変化、費用対効果、代替案の可能性などの視点から事業継続の妥当性について評価が行われます。
8月に開催された同委員会では県が事業主体となる治水事業の対応方針の審議が行われ、9月2日に事業継続を認める意見書が提出されました。
なお、利水事業の再評価については、事業主体である佐世保市において令和6年度中に実施される予定です。
◇県の対応方針
〔対応方針〕事業計画を見直して継続する
総事業費:285億円➡420億円(135億円増額)
完成工期:令和7年度➡令和14年度(7年延長)
変更理由:事業進捗により法面工などの追加工事の必要性が判明したことに加え、人件費や資材価格の高騰、建設業における働き方改革などの影響に対応するため。
◇再評価委員会による審議結果
〔結論〕県の対応方針どおり事業継続を認める
〔補足意見(要約)〕
・気候変動により災害が激甚化・頻発化している中、本事業の必要性は高く、事業継続は妥当である。
・事業効果や技術的な面などについて、事業に反対する住民との話し合いの場を設け、説明を尽くしていただきたい。
・事業に賛同していただいている方々の気持ちも考慮し、公共の福祉のため計画期間内の完成に向けて努められたい。
・ダム周辺地域への影響低減のための回復策とともにダム周辺地域の活性化についても早期の対策を講じられたい。
↓
◇今後の進め方
・県としては、今後も事業に反対されている住民の皆さまの理解と協力を求める努力を続けながら、石木ダムの一日も早い完成を目指します。
・現在、策定を進めている水源地域整備計画により、川棚町民の皆さまにできるだけ早く、ダム完成後の姿をイメージしていただけるようにしたいと考えています。
問合せ:県の河川課
【電話】095-894-3086
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