■五島市に暮らすいろんな人のオススメ本を紹介するコーナー
私が選ぶとっておきの一冊ーRecommended Bookー
▼3冊目
ミュージシャン/出張シェフ 須藤勇樹さん(34)
富江町在住で音楽活動や出張シェフを行っています。東京都出身で、29歳の時、「生き方」をテーマに数十ヶ国でインタビューをし、YouTubeに投稿する企画を立案。クラウドファンディングで資金を募り、奥様と一緒に中東、ヨーロッパ、アジア、オセアニア、アメリカなどを旅しました。
2019年に、何度か訪れていた五島の手つかずの自然が気に入り移住を決断。旅をする中で、10代の頃のやり残した夢である音楽活動に再挑戦したいと感じていたことから、現在暮らしている家の屋根裏に防音のスタジオを作り、日々作曲を行っています。また、時折り出張シェフとして、市内の飲食店に出向き、海外の家庭料理などをその日限定で提供しています。
今年8月に市立図書館で行われた、お気に入りの本を紹介し参加者が読みたくなった本に投票する「第1回ビブリオサークル」でMVPを獲得。移住してからは時間にゆとりができ、音楽活動の傍ら、好きなだけ本を読むことが習慣になっているそうです。
○須藤さんのとっておき
日々、新しい技術が生まれる世の中で、時代に取り残されそうに感じる時があります。未知の情報の渦に溺れる前に、「何かを創り出す」という行為自体が尊いものである、ということを思い出させてくれる一冊です。
○電気じかけのクジラは歌う
逸木裕/著(講談社文庫)
その人の好みの曲を瞬時に作成する、AI作曲アプリ「jing」が普及した世界。作曲家が絶滅の危機に瀕(ひん)する中、主人公の盟友で数少ない現役作曲家が不可解な死を遂げる。死の直前に送られてきた未完の新曲の謎を解明する内に、天才作曲家が込めた想いが明らかになる…。
技術の進歩が自分の仕事を脅かす、そんな時代だからこそ、「何故」その仕事をするのかを考えてみる時かもしれません。僕は、曲を書くことは手紙を書くことと同じで、宛先と内容(目的)があって初めて成立するものだと思っています。美しく綴られた宛先不在の手紙より、震える手で書いたラブレターの方が価値がある。技術が進歩しても、本質を大事にしたいですね。
こちらの本は市立図書館で借りられます。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>