■多くの方に守られて
「何か音がしない?」と妻。「雨の音じゃない」と答える。妻は「そうかな」と納得しない様子のまま、別の話題に移る。
しばらくして、消防からメールが入る。「すぐそこが火事だ!」。携帯が鳴る。応答しながら現場に行くと、アパートから煙が出ている。炎は見えない。消防・警察が駆けつけるのを見て自宅に戻る。
「アパートから煙が出ている。ボヤで終わればいいけど」と外の状況を妻に説明していると、「誰かいますか?すぐに避難してください」と警察官が言って立ち去る。慌てて外に出ると自宅の後方に炎が上がっていた。
妻がまとめたリュック2個分の荷物と母の遺影・位牌を車に乗せ、消火活動の邪魔にならないよう法務局の駐車場まで移動させ、再び自宅へ向かう。プロパン業者の方が、我が家のボンベを外し、安全なところへ運んでくれている。お礼を言いながら、近所の方を探しに火災現場の先に行こうとするが、警戒テープが貼りめぐらされて中に入れない。消防署・消防団の消火活動を祈るような気持ちで見守る。
職員や親戚、知り合いが心配して次々に来てくれる。大津方面から見ると、我が家が燃えているように見えたらしい。近所に住む高齢の方が、駆けつけた家族の方に付き添われ、心配そうに火事を見ている。連絡が取れない方が一人いるとの話を聞く。
市の社会福祉課の職員も来ている。福祉施設の方も利用者の安否を心配して来てくれている。
午後10時10分出火。午前2時12分鎮火。4世帯の方が住むアパートは全焼したが、懸命な消火活動のおかげでそれ以上の延焼はなかった。住宅が密集している区域で、奇跡に近い。
その後も消防署・消防団の活動は遅くまで続き、警察の方は夜通し火災現場に張り付いていた。
警察の方、消防署の職員、消防団の皆さん、町内会の皆さん、プロパン業者の方、福祉施設の方、市役所の職員…。多くの方が、いざという時のために、私たちを見守ってくれていることを実感した一日でした。
残念ながら、翌日、連絡が取れていなかった方の死亡が確認されました。亡くなられた方のご冥福をお祈りし、被災された方々にお見舞い申し上げます。
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