■特集ーspecial featureー
第29回全国都道府県対抗男子駅伝 1区 1位(区間新記録)
五島南高校 川原琉人
祖父と二人三脚で歩んできた12年
▼長崎県勢初の区間新記録
1月21日、広島県で開催された第29回全国都道府県対抗駅伝において、五島南高校の川原琉人さんが長崎県チームの1区に出走。全国から集まった強豪校の選手らを制し、区間新記録のタイムでタスキをつなぎました。1区の区間賞は長崎県勢初の快挙です。
▼大会を振り返って
「昨年の大会では最後の1キロで抜かれてしまい、3位という悔しい結果に終わりました。この1年間ラストスパートで負けない練習に取り組んできたので、雪辱を果たすことができて嬉しい。区間新記録は驚きましたが、絶対トップでつなごうと思ってました」と大会を振り返ります。今年はレース展開を自分でコントロールでき、戦略的に走ることができました。
走り終えると、スマホには家族や友だちから多くのお祝いメッセージ。「たくさんの方の応援のおかげでこの舞台に立てました。ありがとうございます」と感謝の気持ちを話していました。
▼祖父と積み上げてきた12年
三井楽町で生まれ、6歳から陸上を始めます。最初は祖父の高弘さんと野山やグラウンドに行き、遊びを交えて走り回るくらい。陸上に興味を持ち始めると、「早くなるためには努力しないと」と考えるように。二人で一緒にメニューを考え、練習を重ねてきました。
クラブなどには入らず、中学校では陸上部がなかったものの、めきめきとその頭角を現します。中学3年生の時には、長崎県記録会の3000mで全国中学ランキング1位(中学歴代3位)の記録を樹立しました。
高校進学とともに一度島を離れましたが、指導方針の不一致から2年生の夏に五島南高校へ転校。再び祖父との練習の日々が始まりました。
高校からの練習メニューは琉人さんが主に決めていて、悩んだ時などは二人で考えています。高弘さんは「小さい頃から楽しんで走ってもらうことを意識してきました。押し付けたりしないように。本人が思うようにさせています」と、本人の意思を最優先にしてきました。
区間新を記録した全国都道府県対抗男子駅伝。トップでタスキをつなぐ琉人さんを現地で見ていた高弘さんは、「『よくやったなー』」と感動でした。嬉しくて涙が出てきましたよ」と、当時の気持ちを振り返ります。
練習中は、高弘さんも一緒に走りながら琉人さんに声をかけるなど、まさに二人三脚で力を高めてきました。
▼大学では箱根5区を目標
夢はハーフマラソンの日本新
今春からは陸上の名門・順天堂大学へ進みます。「まず目指すのは箱根駅伝への出場。登りが得意なので、強みを活かせる5区を走りたい」と力強く意気込みます。
五島市の代表的なイベント・夕やけマラソンやつばきマラソンに出場する中で、「面白い。自分にはハーフマラソンが合っている」と感じてきました。世界と戦える選手を目指し、ハーフマラソンの日本新記録樹立を夢に掲げています。
五島で祖父と歩んできた12年間。共に積み重ねてきた時間と絆を胸に、五島から全国、世界へと、夢に向かっての挑戦が始まります。
▼主な成績
○2018年10月
[ジュニアオリンピック]
・男子中学1・2年1500m 14位 4:18.37
○2021年3月
[第3回長崎県記録会]
・男子中学3000m 1位 8:20.42
※全国中学ランキング1位(中学歴代3位)
○2023年4月
[金栗記念選抜陸上中長距離熊本大会2023]
・男子高校5000m 2位 14:24.74
○2023年6月
[長崎県高等学校総合体育大会陸上競技]
・男子1500m 優勝 3:53.90
・男子5000m 優勝 14:15.98(大会新)
[全国高等学校陸上競技 北九州地区予選会]
・男子1500m 優勝 3:48.73
・男子5000m 優勝 14:17.67
○2023年8月
[全国高等学校陸上競技対校選手権大会(インターハイ)]
・男子1500m 予選敗退 3:52.38
・男子5000m 17位 14:20.77
○2024年1月
[第29回全国都道府県対抗男子駅伝]
・1区(7キロ) 区間1位 19:31(区間新)
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