■五島市の健全な財政運営を目指して
平成24年に市長に就任以来、五島市の健全な財政運営をいつも考えてきました。就任当時の予算(一般会計)の規模は約280億円。歳入の内訳を見ると、市税など自前で稼ぐ収入は約40億円、それ以外を親(国・県)の仕送りに頼る財政構造です。そのうち最も大きなものが地方交付税で、約151億円交付されていました。これが、合併して10年後となる平成26年度から毎年30億円減らされることになっていました。
そこで、全国の合併市(241団体)で構成する「合併算定替終了に伴う財政対策連絡協議会」の幹事として、当時の長崎市の田上市長さん達と政府・国会に懸命に働きかけ、減らされる額を20億円抑制することが出来ました。
それでも、毎年10億円減らされることは、五島市にとって痛手です。予算編成に当たっては新たに「中期財政見通し」を策定し、大型事業の実施時期をずらすなど毎年の財源不足を調整しながら、行財政改革や既存事業の見直しで財源を捻出しました。また事業評価を行い、大きな財政負担となる下水道計画や都市計画道路事業などを取り止めました。
併せて、平成23年当時約19億円だった特別交付税の確保に努め、以降毎年増額され、令和5年度は約23億円交付されました。また、多額の運営経費を要していたごみ焼却場の建て替えやし尿処理場の統合を進め、毎年約3億3,500万円を捻出しました。
こうして財源確保に目途をつけ、子育て世代の負担を軽減するため、こども医療費の中学・高校生までの助成拡大、保育料の大幅軽減などを実施し、移住対策に本格的に取り組み、五島市最大の課題である人口減少対策を進め、この5年で3回の社会増を達成しました。
公共施設の整備に当たっては、国・県の補助金に加え国から財政支援がある合併特例債・過疎債など有利な財源を活用し、福江小学校・緑丘小学校の改築、岐宿小学校、食肉センター、消防署本所・出張所、市役所本庁舎・支所庁舎、図書館、富江町公民館などを整備しました。
3期12年、様々な事業を展開し市勢の発展に努めてまいりましたが、五島市の借金残高は私が市長に就任する前(平成23年度末)の約377億円から30億円減少し、貯金残高は約86億円から76億円増加しました。
市長としてやりたいことはいくらでもあります。市民の皆様からの要望にも応えたいと思います。しかし、毎年多額のお金がかかる事業は財源をしっかり確保しないと、次の世代・我々の子ども達に大きな負担をかけることになります。五島市の財政を破綻させないため、やりたくてもやれないことはやらない。安易な約束はしない。そしてその批判は自ら受ける。それが市長の務めだと思っています。
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