■岳(たけ)地区の凍豆腐(こおりどうふ)
雲仙市千々石町の岳地区と言えば、「日本の棚田100選」に選ばれ、現在は「つなぐ棚田遺産」にも選ばれている棚田と、その棚田から作られる美味しいお米が有名です。
しかし、以前は、お米以外に「凍豆腐」が作られていたことをご存じでしょうか。今回は、岳地区で昭和30年代まで作られていた凍豆腐について紹介します。
かつて、岳地区では家に「あるモノ」が置いてありました。そのあるモノとは何でしょうか。答えは、大豆を挽くための「石臼」です。岳地区の人々は昔から主に米作りを行ってきましたが、米の収穫量は天候に左右されるため、収入が不安定でした。
そこで人々が考えたのが凍豆腐です。凍豆腐は、水を加えながら大豆を石臼で挽いて作った豆乳に、にがりを入れて固めて豆腐を作り、凍らせたものです。岳地区は千々石川とその支流の清水川から豊富な水が流れています。また標高200~450mの山間部に位置するため、冬は寒く、陽当たりも良くありません。しかし、そのような環境は凍豆腐を作るのに適しており、保存食になるため農閑期の貴重な収入源になりました。
作るのに手間がかかる凍豆腐は、今では作られていませんが、岳地区の家々にあった石臼は、厳しい自然環境を生活に利用していた証として現在も残っています。
問合せ:島原半島ジオパーク協議会
【電話】0957-65-5540【E-mail】info@unzen-geopark.jp
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