※Parolaは「言葉または保証」という意味
■出汁を伸ばせば…薄くなるだけでしょう!
もう11月になりますが、年末が近づけば近づくほど、皆さんも約1年間の疲労の負担を感じませんか?私も最近、両親とのテレビ電話にて疲れの話がちょびちょびと登場します。そこで、母はいつも言うのが「あとちょっとで今年は終わりますので、ちょっとした出汁伸ばしでいいからよ」ということです。
イタリアで、「出汁伸ばし」とは、ある件や話をのびのびにさせることです。例えば、発表の時に、早く終わりそうな場合でも、遠回しや詳細で話を伸ばしたら、それは「出汁伸ばし」です。または、会議の準備が終わってないのに来客がお見えになる時に「出汁伸ばし」で世間話をしながら、時間を稼いで、準備を終わらせます。
中世時代のイタリアに、飲み屋に来店していたお客さんは無料でスープをいただけました。大人数のお客さんに食べさせるように、出汁の具をすくわずに、どんどん水を足して、その出汁を伸ばしていました。つまり、みんなのニーズに応えるように物事を伸ばすということで、この表現が誕生しました。
もちろん、出汁を伸ばすと、味は薄くなりますので、日本ではこの表現があまりいい意味ではないように聞こえるかもしれません。しかし、イタリア人からすると、日本人はいろいろな場面で気づかずに出汁を伸ばすことがあると思います。例えば、人に会う時によく挨拶だけではなく、いろいろな話をしますが、それは素敵な交流時間の「出汁伸ばし」です!そして、考えれば、そうめん流しも「出汁伸ばし」のひとつの例です。そうめんはそのままで食べると5分で済みますが、そうめんの美味しさをもっと長く楽しめるために流してから食べるのが、完全に「出汁伸ばし」ではないでしょうか。
今年の1月に辰の頭に乗って空を飛んでいましたが、今頃は尻尾の方にいて、尻尾も終わったらどうしようと考えるのが怖いでしょう。そこで、出汁伸ばしの技を生かして、楽しく今年の最後まで満喫しましょう!そして、道に出汁伸ばしをして人と長く世間話をするクルクル頭を見れば、「エマ」と声をかけて、一緒に伸ばした出汁の味を楽しみましょう!
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