■古墳時代開始前夜の「二本櫨(にほんはぜ)式土器」~二本櫨遺跡(深江町)~
弥生時代後期終末(1,700年以上前)、島原半島では上げ底でラッパ状の底部をもち、口縁部は「く」の字に折れ曲がった甕、「台付甕(だいつきかめ)」がさかんに作られます。器壁は薄手で、長めの胴部には外面も内面もハケ目といわれる板状の工具でなでたあとがあるのが特徴です。外面には煤(すす)がついている場合が多いので、おそらく主に煮炊きに使ったのでしょう。
出土遺跡の分布は、内野貝塚(加津佐町)や今福遺跡(北有馬町)など島原半島南部に中心があり、「島原半島系土器」として認知されています。
令和4年、深江中学校の北側にある二本櫨遺跡では、自転車歩行者専用道路の整備工事に伴い発掘調査が行われ、2棟の竪穴住居や島原半島系土器を含む甕(かめ)、壷(つぼ)、高坏(たかつき)、器台(きだい)といった土器が大量に出土しました。これらの土器群は、セット関係が明確で、弥生時代後期終末の南島原の様相を特徴的に見せていることから、「二本櫨式土器」と命名して基準資料としての位置づけが可能となってきました。そして、最近の研究では島原半島系の土器を中心とした「二本櫨式土器」の出土が、佐賀、熊本、鹿児島の有明海沿岸や八代海沿岸の遺跡でも知られてきています。
古墳時代の開始前夜、どうやら南島原の弥生人たちは、海を介して広く積極的に交易などを行っていたようです。
▽12月~令和7年1月の小企画
日時:12月1日(日)~令和7年1月31日(金)
※休館日…火曜
場所:深江埋蔵文化財・噴火災害資料館
料金:
・一般…200円
・高校生…150円
・中学生以下…無料
※団体割引あり
※企画展は入館料のみでご覧いただきます。
問合せ:文化財課(南有馬庁舎)
【電話】73-6705
<この記事についてアンケートにご協力ください。>