名誉市民で古野電気株式会社の名誉相談役、古野清賢さん(98歳)が去る6月26日にご逝去されました。
古野清賢は、兄の故清孝さんとともに昭和13年に旧南有馬町で、ラジオの販売・修理業を始めました。その後、口之津町に事業所を移し、古野電気の前身である古野電気商会を設立。以来、苦節10年世界で初めて魚群探知機の開発と実用化に成功しました。これを機に、昭和23年合資会社古野電気工業所を設立。清賢さんは主に営業部門を担当し、技術者の清孝さんと二人三脚で古野電気を船舶用電子機器分野における世界トップメーカーへ成長させました。
若いころから漁場で清孝さんが開発した魚群探知機の実験と操作指導で魚を追い求め、豊漁をもたらした清賢さんは漁師の間で「イワシの神様」と呼ばれていました。相談役就任後も現場をこよなく愛され、時間があれば会社へ顔を出して、次世代の育成に御尽力されました。
長年に渡る多大な功績が認められ、藍綬褒章や旭日小綬章をはじめ、運輸大臣表彰や農林水産大臣感謝状など、数々の表彰を受章されました。
本市との関わりに触れると、旧南有馬町から平成17年12月に南有馬町名誉町民の称号を受けられ、そして合併後の平成18年12月、南島原市名誉市民となられました。
清賢さん・清孝さんの古野ご兄弟は、故郷を愛し、地元を大事にされてこられました。平成16年からは、両氏の私費を投じ、旧南有馬町で古野賞科学技術展を開催され、現在でも、市内の小中学生が夏休み期間中に科学技術に興味を持って取り組み、科学的思考や表現力を育てることを目的に実施されています。さらに、両氏は、ふるさと納税制度である「南島原市ふるさと応援寄附」で多額の寄附をされるなど、ふるさとのために尽くされていました。
清賢さんのこれまでのご功績をたたえ、心からご冥福をお祈りいたします。
■南島原市長 松本政博
南島原市名誉市民であり、古野電気株式会社名誉相談役古野清賢様の訃報に接し、心からお悔やみ申し上げます。
古野清賢様には、古野賞科学技術展をはじめ、故郷〝南島原市〞に対し、幾多のご厚情を賜りました。
創業から今日の〝世界のフルノ〞と呼ばれるような偉大なる業績と人格に深く敬意を表しますとともに、生前、清賢様がお話しくださった「過去を過去として敬意を払いつつ、現在を見つめ冷静に分析できてこそ、未来が拓ける。進歩のないところに、明るい未来はない。」とのお言葉のとおりに常に未来志向の精神を私たち南島原市民は、これからも受け継いでまいりたいと思っております。
ご家族と古野電気株式会社の皆様のご心痛をお察し申し上げますとともに、在りし日を偲び心からご冥福をお祈りいたします。
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