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市長コラム

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長崎県壱岐市

■海の脱炭素「ブルーカーボン」の取組について
夕暮れの涼風が肌に心地よい頃となりました。市民皆様にはご健勝にてお過ごしのことと存じます。
さて、8月10日に接近した台風6号は壱岐市付近を通過し、複数箇所の倒木や停電等が確認されましたが、幸いにして甚大な被害は免れ、一安心したところです。
一方、去る7月9日から10日にかけて降り続いた大雨では、土砂崩れによる道路や農地の被害が発生しています。
これらの豪雨や大型化、強大化する台風など、いつ、どこで発生するか予測のできない異常気象が頻発していますが、これら異常気象は気候変動(地球温暖化)によるものとされています。
先般、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、現状を「地球沸騰化」と表現し、警鐘を鳴らしました。脱炭素社会の実現への取組は既に待ったなしの状況にあり、災害を予防するという観点からも、令和元年に全国自治体に先駆けて「気候非常事態」を宣言したここ壱岐市から、地域脱炭素の実現を成し遂げることができればと考えています。
この脱炭素の推進に関して、今、注目を浴びているのが「海」、そして「ブルーカーボン」です。
離島に住む私たちにとって、海という存在は切っても切れない関係にあり、古来より島を取り巻く豊かな海から、食をはじめとする多くの恵みを受けてきました。しかし、気候変動の影響は、この豊かな海にも確実に影を落としており、藻場が著しく減少し、多くの天然礁を有する好漁場であるはずの本市周辺海域でも漁獲量が激減しています。
本市ではこうした水産業の危機的状況を打開すべく、令和元年度から本格的に、食植性動物(イスズミ等)の駆除などによる磯焼け対策に取り組んできました。その結果、三島・渡良地区を中心に郷ノ浦地区の広範囲において、大型海藻など藻場の再生が見られるようになりました。
また、壱岐市磯焼け対策協議会の今年度の新たな取組として、磯焼け対策により回復した藻場をブルーカーボンクレジット(注)申請し、クレジット化することで、カーボンニュートラルを目指す企業等に購入していただき、その資金を活用して、持続的な磯焼け対策に繋げていく取組を進めています。
こうした取組の先にあるゼロカーボンシティ(2050年に二酸化炭素を実質ゼロにすることを目指す地方自治体)の実現のためには、行政だけでなく、民間企業との連携並びに市民皆様お一人お一人のご理解等が必要となりますので、引き続きご理解とご協力をお願いいたします。
(注)カーボンクレジット:CO2など温室効果ガスの排出削減量を、主に企業間で売買可能にする仕組み
※このコラムは令和5年8月22日現在です。数値や状況等は変わることがありますことをご了承願います。

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