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市民病院だより

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長崎県大村市

『ビタミンDについてのお話』

市立大村市民病院 整形外科
前田 和成先生

骨粗鬆(しょう)症の治療における、ビタミンDの役割が、年々大きくなっています。
ビタミンDは自分で作ることができないビタミンで、キノコや鮭などに多く含まれています。その主な働きは、腸からのカルシウム、リンの吸収を助けて、良質な骨の形成に関与することです。その働きは日光を浴びることによって活性型ビタミンD3といわれる形に変化しないと発動しないので、適度な日光浴も大事です。
今までは体内のビタミンDの量について評価することが難しかったのですが、数年前から、骨粗鬆症と診断された人には、活性型のもとになる25OHビタミンDという物質を採血検査で定量することができるようになりました。この値は通常の食生活をされる人では、ほぼ一定しています。ビタミンDは日本人では特に少ないと一般にいわれます。確かに、骨粗鬆症の患者さんで検査すると、十分量に比べ1/3程度しか持っていない人が多い印象です。明らかに低値の人は、活性型ビタミンD3製剤という内服薬として補充することが勧められています。骨粗鬆症と診断されている人は、かかりつけの先生に、一度、採血検査をお願いしてみてはいかがでしょうか。
この薬も効果が強いものから、やや弱いものまで数種類があります。効果が強すぎると高カルシウム血症や尿路結石などを起こすことがあります。特に腎機能に不安がある人は注意が必要です。低値と判断された人は、内服開始が望ましいのか、どの活性型ビタミンD3製剤内服が望ましいか、これも相談されたほうが良いでしょう。
また、たくましい男性でも、極端な偏食の人はビタミンDの値が低く、骨密度検査を受けると骨粗鬆症と判断される人もいらっしゃるので、バランスの良い食事摂取が望まれます。
ビタミンDには骨格筋の増加に関係があるといわれます。さらに、ウイルス感染などに対する抵抗力も上げるといわれています。ここ数年、ビタミンDに関する研究は進んでおり、さらにそのメカニズムが明らかとなっていくことが期待されます。

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