◆大腸がん検診
市立大村市民病院 内視鏡診療部 部長 大塚 英司先生
大腸がんは、早期の場合は比較的症状が出にくいとされていますが、進行すると便に血が混じるといった症状が出てきます。
便潜血検査は目に見えないような微小な出血でも検出することができ、検診では2日間便の検査を行います。進行がんの場合85%の人が陽性となりますが、実際便潜血が陽性の人のうち内視鏡検査で大腸がんが発見された率は4%程度です。
しかし、大腸がんは50歳以上で増加することや、発育が他のがんと比べ、比較的穏やかで早期に発見される可能性が高く、ポリープがんなどの場合は非常に予後が良好ですので、積極的に検診を受けるようにしましょう。
大腸がんの二次検査は内視鏡検査ですが、便潜血検査で陽性になっても3分の1の人は内視鏡検査を受けないため、大腸がんの発見率低下の原因となっています。精密検査を受けない大きな理由の一つは、内視鏡検査は怖い苦しいといった印象があるためだと思います。
大腸内視鏡検査は、大腸の中を空っぽにするために前日から下剤を飲みます。特に検査当日は、2リットルの水に下剤を溶かして1〜2時間かけて徐々に飲み、排便をくり返す工程があります。確かに楽ではありませんが、数日前から消化のよいものだけを食べるようにしたり、便を柔らかくする内服剤を服用することで大腸の中がきれいになりやすくなり、結果的に服用する当日の水分量も減り苦痛の軽減につながります。
内視鏡挿入時の苦痛も大きな問題ですが、特に便秘がひどい人や開腹手術を受けた人、以前大腸に憩室(けいしつ)があるといわれた人は挿入に伴う痛みが起こる可能性があります。事前にわかれば鎮痛剤を用いて楽に検査することが可能です。
現在、大腸がんは年間15万人が発病し、5万人が死亡する病気で、臓器別のがん死亡率はトップです。
積極的に検診を受けて早期発見し、治療を行うようにしましょう。
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