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みんなの健康

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長崎県大村市

◆アトピー性皮膚炎について
医療法人Palette
ゼロフルクリニック
院長 福井 智久先生

今回は、アトピー性皮膚炎についてお話しします。慢性的な皮疹、かゆみのため生活の質を損なうこの疾患ですが、いろいろな誤解や思い込みが治療の障壁となってきます。治療がうまくいかないと医療不信に陥り、民間医療に頼って皮疹を悪化させ、重症感染症を併発するケースもあります。こうした背景から患者さんに正しい知識を提供し、自己管理を促すのがとても重要です。疾患理解、外用方法、環境改善、この3点を意識することで大半は良好な経過を得られます。
アトピー性皮膚炎は患者さん本人が治す疾患であり、医師はその手助けしかできません。基本はなんといっても外用治療で、患者さんが適切に使用できなければ改善は難しくなります。また、外用をやめると再発するため、予防的にコントロールしていくことも重要となります。それを説明していないと、患者さんは「一向に治らない」と通院をやめてしまいます。
外用の誤用も多くみられます。量が少ない、すり込んでいる、範囲が狭い、かゆいときだけ外用している、などが挙げられます。環境要因としても、外的刺激や悪化アレルゲンの除去、心理的問題の改善などの悪化因子を除去することも重要です。
これらを患者さんへの指導することが肝要なのですが、開業医ではなかなか時間がとれないことも多く、現実的に全ての説明は厳しい状況です。またステロイド外用を嫌う人、生活環境や遺伝的(体質的)な問題などでも治療が難しい人もいます。最近は生物学的製剤も出てきていますが、まだまだ高額のため万人に勧めることはできません。
一方で処方量が少なかったり、不適応な生物学的製剤の投与を行ったり、あまつさえ漢方風呂などの民間療法を勧めていたりなど、遺憾ながら医療者側の問題も存在します。
アトピー性皮膚炎の治療は、このような個々の原因や問題点を追求し、改善していくことが重要です。

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