◆高血圧と入浴 〜ストップ!ヒートショック〜
市立大村市民病院 循環器内科 中富 大介先生
◇ヒートショックとは
急激な温度変化により血圧が大きく変動し、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こす現象で、高血圧患者の入浴時に多いことが知られています。ヒートショックによる死亡者数は増加傾向にあり、交通事故による死亡者数の約3倍にあたるとのデータもあることから、近年その対策が重要となっています。
◇高血圧の疫学
我が国において高血圧患者は約4300万人と推定されています。
若年高血圧患者は増加傾向にあり、男性は30代の5人に1人、40代の3人に1人が高血圧です。女性は50代から増加し、60代以降では50%を超えます。適切に血圧コントロールされている高血圧患者は1200万人とされており、そういった患者をいかに増やしていくかが近年の課題となっています。
◇日本人の入浴
ある調査では日本人の約80%は「ほぼ毎日」湯船に浸かると回答、特に女性は約60%が平日毎日入浴すると回答しています。日本人が入浴を好む理由として気候的要因(湿気の多い夏、寒い冬)、文化的背景(温泉文化)などが挙げられます。
日本人の高い入浴頻度はリラクゼーション、血行改善や衛生習慣による健康促進に寄与していると考えられており、ヒートショックをしっかり予防し高い入浴頻度を維持することが推奨されます。
◇ヒートショックの予防
(1)入浴前に脱衣所や浴室を暖める
(2)入浴前後の水分摂取
(3)適切な湯温と入浴時間(41度以下、10分程度)
(4)手や足から徐々に湯に慣らしてから入浴、浴槽から急に立ち上がらない
(5)食事直後・飲酒後・医薬品服用後の入浴を避ける
(6)家族に声をかけてから入浴するなどの対策をとる
◇最後に
安全な入浴によるリラクゼーションや健康増進効果を得るため、また日本の温泉文化を楽しむため、ヒートショックを予防する適切な入浴習慣を身につけましょう。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>