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【特集】学び舎は「対馬」、教材は「地球」~対馬グローカル大学~(2)

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長崎県対馬市

■どんなことを学んでいるの?
対馬グローカル大学では、対馬をフィールドに研究を行う大学の教員や専門家などが、講師となり、3つの活動を通して「対馬」を題材とした学びを深めていきます。


▽Web講義
対馬で研究や実践活動を行っている専門家・実践家から、それぞれの活動や成果を聴くことができる。
▽オンラインゼミ
環境・社会・ビジネスなどのテーマに分かれ、担当講師からの指導を受けながら少人数で学び合う活動を行う。
▽仮想研究室
受講生・講師・スタッフの交流を深めるために、Web上に置かれた意見交換の場。雑談の中から新たな発見・アイデアが生まれることも。

■受講生に伺いました!
〔社会ゼミ受講生 武田 暢博さん〕
上県町出身。中学・高校を長崎で過ごし、卒業後はそのまま長崎で就職し、福岡で定年を迎える。
2018年に定年を機に対馬に戻る。

◇「ゼミ」って何だろう?からスタートした学びの機会
高校卒業後、就職した私にとって、大学がどういうところか非常に興味がありました。「ゼミ」って何だろう?という思いから、ゼミ体験に参加したところ、私がこれまで受けてきた学びとは大きな違いがありました。
高校までの学びは、教科書に沿って皆同じ内容を学びますが、ゼミは、課題に沿って、それぞれの受講生が自分の持っているテーマに置き換えて学びを深めていきます。一通りまとめると、それぞれ発表し、講師の先生にアドバイスを受けたり、他の受講生の意見を聴いたりします。受講生は違うテーマで関わっているので、自分が気付かなかった考え方を知ることができるというところはとても良いと思います。

◇地域の防災に対しての思い
対馬に帰ってきて暮らし始めた頃、私の住む佐須奈地区は台風による大雨で浸水などの被害を受けました。その時、災害や、地域に対し何もできない自分がいました。幸い、人的被害はありませんでしたが、もしも今後、大きな災害が起こってしまったらと考えた時、絶望感しかありませんでした。
佐須奈地区は50年前の1971年7月に大雨による大きな災害が発生していて、そのころの記憶も地域にはまだ少し残っています。50年前に比べると、人口がかなり少なくなる一方、高齢者などの災害弱者は増えています。地域の防災に対し、地域の人たちとどのように向き合えば良いかを考えていくことを、グローカル大学で学ぼうと考えました。

◇私になかった考え方とやり方を学びあう
地域の防災は一人だけの行動や考えではできません。そこで、ゼミの実習で、先進地の区長さんにお話しを伺い、地域全体への広がりの方法などを学びました。さらに、大学生に協力してもらい、地域へのアンケートやワークショップを行うことができました。自分一人では、想像すらしなかった取り組みを、この大学がきっかけとなって実行できたことはとても良かったと思います。共に活動してくれた大学生にはとても感謝しています。私も、学びに刺激を受け、趣味で取り組んでいた詩画を活かして、SDGsに関する詩画集を出版したりと、活動が広がり始めています。

◇いつまでも挑戦と出会いを
グローカル大学がなければ、若い世代と関わることもなかったでしょうし、Zoom(Web会議システム)を使うこともなかったと思います。社会で起こっている様々な課題を、自分事として考えることで学ぶきっかけになります。日々の生活にも張り合いが生まれるので、ぜひたくさんの方に参加してほしいと思います。

武田さんが出版した詩画集:つしま図書館、各地区公民館の図書室に設けられたSDGs図書コーナーに設置してあります。

〔ビジネスゼミ受講生 村瀬 昌吾さん〕
厳原町出身、埼玉県在住。高校卒業後島外へ進学し、就職。現在は都内の広告代理店に勤務。

◇コロナ禍で生まれた出会い
30年前、対馬に閉鎖的な雰囲気を感じていた年頃の私は、対馬を出たくて大学に進学し、そのまま島外で就職しました。以来、対馬には、年に一度帰省するかどうかでした。それが、コロナ禍によって、仕事をする場所や時間が柔軟になり、それまで一大行事だった対馬への帰省も、ずいぶんと身近になりました。生活の拠点を維持したまま、対馬への関わりを深めていくことができるようになったと感じた私は、この大学の存在をネット上で知り、受講することにしました。

◇自身の仕事から見えた対馬の課題
「誰かの代わりに情報を伝える」ことを仕事としている私は、このゼミで、対馬の抱える課題をどのようにしたら多くの人に知ってもらえるかを考えました。私は、対馬の人たちが「正しい情報」を発信するだけでなく、その情報が「届いているか」をもっと考えるべきだと、ゼミの中で発表しました。

◇故郷との新しい付き合い方
私のように故郷と距離がある人間にとって、故郷と関わるということは、今の生活を終える必要がありました。しかし、働く環境に変化が起こったことで、故郷との新しい付き合い方が生まれたように感じています。また、SNSなどで対馬の情報をリアルタイムに入手することができるようになったことも大きいと思います。
今まで築いたキャリアを活かしながら、遠くに離れていても対馬のために行動することができる。それは、対馬の魅力を自分の仕事にも活かすことができるということにもつながると思っています。

◆今年度の対馬グローカル大学の情報は、対馬市ホームページや広報つしま5月号でお知らせする予定です。学ぶことの喜びや、みんなで学び合うことの楽しさを感じてみませんか!

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