「人生の達人」
金子 三豊(かねこ みとよ)さん(88)
昭和11年生まれ。有明町で育ち地元学校を卒業後、就職のため名古屋市へ。父の他界を機に52歳で帰郷。定年退職後は自治会長や民生委員児童委員(約18年間)を務め、地域福祉の向上に尽力。
50歳の頃から写真撮影の活動を始める。二科会写真部長崎支部に所属し同会写真部展や県展などで入賞多数。
長崎県社会福祉協議会長表彰(H25)、九州社会福祉協議会連合会長表彰(H25)、厚生労働大臣表彰(H30)など。現在は島原市健康づくり推進員も務める(H24~)。有明町温泉屋敷在住。
「写真は50歳の頃から始めたので40年近くになります。あまり遠くには出かけずに、島原半島の風景を撮影しています。近所の道路で雉(キジ)が陣地争いをしている場面にたまたま遭遇し、シャッターを切った作品が今年の二科会写真部展で入選しました。全国から多くの応募がある写真展で選ばれたことはとても嬉しかったです。」と、語るのは金子三豊さんです。
定年退職後、民生委員児童委員として約18年間、地域福祉の向上に尽力し、有明地区の会長、市の副会長も務めました。「最初は法律や制度改正などの勉強に苦労しました。高齢世帯への訪問や声掛け、緊急時の体制づくりにも取り組みました。自宅で倒れていた高齢者を自治会の方が発見し、救急搬送して助かったということがありましたが、自治会と民生委員との連絡体制を築いていたことが功を奏しました。看護師さんから「民生委員さんがついていたので本当によかった」と言われた時、活動の重要さをとても感じました。このことは今でも忘れられません。」と、民生委員としての活動を振り返ります。
平成20年、合併を機に市が発行した「未来へ」(島原百年のまちづくり選定集)では編集委員を努めました。「市から依頼されて引き受けましたが、五十歳過ぎまで地元にいなかったこともあり、島原の歴史に疎くて苦労しましたが、伝統的な建造物などの撮影でも協力できました。残念ながら今では失われた風景もあります。編集に携わらせていただき、ふるさとの記録としてずっと残る、意義ある本を発行することができてよかったと思います。」と、語ります。
■ふるさとを見つめ直す
撮影の心得をお聞きすると、「ここはと思った場所は季節や時間帯を変えて何回も撮りに行くんです。1回ではあきらめない。その時々でなければ見えない景色があるんですよ。そしていい写真が撮れたらもう一度来てよかったと思えるんです。」また、「いろいろな写真展を見に行きます。特に高校生の写真展は面白いですね。よく撮れているし若者ならではの発想がいい。勉強になりますね。」と、語ります。
今後の展望については「もうすぐ2歳になるひ孫の成長を楽しみに、元気なうちは撮影を続けたいと思っています。そしてふるさと島原半島を見つめ直したい。素晴らしい風景がたくさんあります。今まで撮れなかった場所に再び行って、いい写真を撮りたいですね。」と、笑顔で語っていただきました。
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