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自治体の皆さまへ

健康一口メモ 461号

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長崎県波佐見町

◆健康寿命と変形性膝関節症
・山本整形外科 山本 尚幸

日本人の「平均寿命」は、女性は87歳、男性は81歳と発表されました。しかしながら、他人の手を借りずに自立して生活できる期間はそれよりも短く、女性は75歳、男性は73歳です。その「健康寿命」を延ばす事が求められています。
人間が立つ、歩く、作業するといった、広い意味での運動のために必要な身体の仕組み全体を運動器といいます。運動器は骨・関節・筋肉・神経などで成り立っていますが、これらの組織の障害によって立ったり歩いたりするための身体能力(移動機能)が低下した状態を、運動器症候群、またはロコモティブシンドロームと言います(以下ロコモ。)ロコモが進行すると、将来介護が必要になるリスクが高くなります。
そのロコモの原因の一つに変形性膝関節症があります。膝関節内にあるクッションの役割をする軟骨が徐々にすり減って痛みが起こります。
治療は初期であれば、内服薬や外用薬(湿布や塗り薬)、物理療法(電気治療など)がありますが、中期になるとそれでは改善せず、ヒアルロン酸注射が検討されます。ヒアルロン酸は潤滑油やクッションの役目を果たしていますが、炎症や痛みを抑える効果もあります。
それでも改善せず生活に支障がある場合には人工関節を使った手術となります。最近は人工物や技術も進化し、2~3週間の入院で済みますし、手術翌日から歩けます。一定のリスクはあるものの痛みはほぼ軽快すると言っていいでしょう。
近年、PRP療法(多血小板血漿)といって、自分の血液を遠心分離して、関節に注射する治療がありますが、保険適応でなく中期から末期の患者さんへの効果は限定的のようです。進行を遅らせる効果はあると思います。費用は約5回の治療で約40万円とのことです。
どの段階でも、関節の動きや筋力の維持は重要ですので、運動リハビリテーションも必要です。

予防は運動療法が効果的です。特に歩行浴はお勧めです。肥満気味の方はダイエットもがんばりましょう。
「健康寿命」を延ばして、いつまでも自立した生活を送っていただきたいと思います。

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