◆“咬み合せ”って何ぞや(4)
今回は、“下顎の動き(下顎運動)”の基本的な考え方を解説していきます。
まず、下顎骨は、顔面の両サイドにある顎関節を基点とし、咀嚼筋である筋肉群が複雑な動きをつかさどることでその役割を果たしています。実際の動きは、概ね以下の4つの種類に分けることができます。
1.上下移動
口を開閉する際の動きです。顎関節を支点として回転し(転がり)、さらに前方に滑走する(滑る)動きです。両側の顎関節が、同じタイミングで回転したり滑走することで、下顎が脱臼せずに口をまっすぐ開けたり閉じたりすることができます。
2.前後移動
下顎を前に出したり、それを戻したりする動きです。両側の顎関節が、同じタイミングで滑走することでそのような動きが可能となります。
3.側方運動
下顎が横に動くとき、片側の顎関節は固定されています。一方で反対側が横に動くことにより、顎は固定された方向(側方)に動かすことができるのです。
4.ベネット運動
下顎が一方向に動く際、反対側の下顎も少し外側に動く動きです。これは実際に感覚としては実感できない動きですが、「咬むこと」を語るうえでは極めて重要です。
下顎骨は左右対称な関節があるため、上に書いた4種類を駆使した複雑な動きで、上下・左右・前後の動きを再現することができます。これらにより、食べ物を切ったりすり潰したりして飲み込みやすい形に変えることができるのです。
次の回では、下顎運動と歯並びの相関関係をご説明いたします。
大村東彼歯科医師会波佐見班 山辺成志
<この記事についてアンケートにご協力ください。>