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こんにちは歯科医師です

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長崎県波佐見町

◆“咬み合せ”って何ぞや(7)
今回は、下顎運動と歯並びの関係について解説していきます。
まず、咬み合せている状態での下顎運動は、大きく前方運動/側方運動に分かれます。斜め運動については、前述の2つの運動を組み合わせたものです。また、それら下顎の前後左右の運動中に特定の歯が接触することを“ガイド(誘導)”と表現します。一般的に、前方運動では上下顎の前歯が、側方運動では犬歯がガイドを担います。ここでお気付きになった方もいるかもしれませんが、咬み合せた状態で顎を動かすと前歯と犬歯しか触れていないことが多いです。
さて、本当にそうなのでしょうか、ご自身のお口の中で確認してみましょう。実は多くの方がそうなっていないことを自覚されると思います。なぜなら、前歯と犬歯だけでガイドするのは、きれいな歯並びの方に限定されるからです。しかし、奥歯でガイドするような歯並びが果たして悪いのか、というと一概にそうとは言えません。ある程度バランスがとれていて、多くの歯が抜歯されずに残っていれば何とか持ちこたえることはできます。
ただし、奥歯は物を咬み砕いたり、磨り潰す役割が大きいため、ガイドを担うには適しておらず、長期的には顎関節の不具合を引き起こす可能性があります。奥歯は咬み合せた時の歯の接触面積が大きく、支点(顎関節)と作用点(奥歯)との距離が近いため広範囲の力強い筋肉で動かされ、大きなダメージが加えられてしまいます。それが長期間続くと、歯の位置が動いたり歯周病が悪化したり、また、歯そのものが摩耗して、咬み合せが崩壊しやすくなるのです。
一方、前歯同士の接触面積は少なく、支点(顎関節)と作用点(前歯)の距離が遠いのでダメージを最小限にすることができます。咬み合せにおいて矯正治療が重要視されるのは、見た目を美しくするよりも、機能的にお口の健康を保つためには非常に有効な手段だからです。お口の中に関しては、『機能性を追求すれば必ず美しさにたどり着く』とご理解ください。分かりにくい場合は、インターネットで“アンテリアルガイダンス”というキーワードで検索してみてください。
次の回では、入れ歯(とりわけ総入れ歯)に関する咬み合せについてご説明いたします。

大村東彼歯科医師会波佐見班 山辺成志

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