■祖父母や父の背中を追いかけながら自分なりの養豚を
株式会社打田産業 西海町
打田柊人(うちだしゅうと)さん(25)
妻と3歳の男の子、1歳の女の子と4人暮らし。地元の高校を卒業後、長崎県立農業大学校で畜産を学び、20歳で家業である養豚業の道へ。現在、母豚の数は300頭。豚の健康に気を配り日々の業務に取り組んでいる。休日には、妻との買い物や子どもと公園で遊んだりと、家族との時間を過ごす。とんかつが大好物で、脂があっさりして食べやすい自社で育てた豚肉でないと満足できないのだそう。
▽進路を考えていたとき突然、父の仕事を継ぎたいと思った
最初は特に継ぎたいとは思いもせず、養豚の仕事をぼちぼち手伝っていました。高校3年生で進路を考え始めるころ、ふと目の前で機械の操作や仕事をしている父の姿を見て「親父、なんかかっこいいな」と突然思ったんです。それから本気で父の後を継ぎたいと決心し、農大で畜産を学びました。
以前は、自然交配で豚を増やしていましたが、自分が就農して種付けを担当するようになってからは、すべて人工受精を行っています。その結果、再発(豚の発情)や産子数(子豚の数)が増え、そのことを祖母から褒められたときは、とても嬉しくて何よりもやりがいを感じた瞬間でした。さらに、豚たちの様子の変化に気づいていち早く病気を見抜き、すぐに注射などで対処して豚たちが回復していくと、「ああ、良かった!」と心からやりがいを感じます。
▽豚はかわいい!元気に育ってほしい!「とにかく豚を見て判断しなさい」祖母の教え
1頭の母豚から生まれる子豚は平均14頭で、子豚たちが突然、運動会みたいにぐるぐる走り回るのが面白いです。とにかく、元気に育ってくれることが一番大切。餌は粒のとうもろこしを自社で粉砕して自家配合で作っています。新鮮で栄養価が高い餌を与えているので、豚の成長が早く、より健康に育っています。今は季節の変わり目で、手間がかかりますが、空気が通るように板を開けたり、肥育舎のもみがらが舞わないように水かけなど、こまめに豚舎の環境を整えるようにしています。「暑い寒いは豚が教えてくれる。とにかく豚を見て、こうすればいいという判断をしなさい」という祖母の教えを意識して、日々の仕事に取り組んでいます。
▽祖父のおかげで今の環境があるこれからも養豚の仕事に励みます
今の豚舎や施設も全部、祖父が鉄筋を切ったり溶接したりして築き上げたものです。祖父のおかげで今の環境があると、心から感謝しています。仕事中、きつい言葉で厳しく叱られると、正直イライラすることもありますが、心のどこかで「じいちゃん、すごいな」と尊敬しています。
とうもろこし価格の高騰によるコスト削減で、以前は350頭いた母豚を300頭に減らしました。将来的には元の頭数に戻したいです。経験が少なく祖父母や父のようにはうまくいきませんが、人や地域とのつながりを大切にして、祖父への感謝の気持ちと、祖母からの教えを大切にして、これからも養豚の仕事に励みたいです。
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