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長崎県立大学 シーボルト校研究紹介 Vol.33

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長崎県長与町

長与町に立地する長崎県立大学シーボルト校。
すぐ近くの大学でどのような研究が行われているかをシリーズで紹介していきます。

■持続可能な生体認証システムを目指して
情報システム学部情報セキュリティ学科
喜多 義弘 准教授

近年、指紋認証や顔認証などの生体認証が普及し、あらゆる場面で使われています。生体認証のおかげで、今まで覚えるのに面倒だったパスワードや暗証番号から解放され、便利な世の中になってきています。
しかし、そんな生体認証にもいくつか欠点があり、その中でも特に「再登録が難しい」という点は深刻ながらも意外と知られていません。
まず、生体認証は指紋や顔など身体の一部を使った方法なので、常に自身に備わっており、どこかに置き忘れるようなことはありません。そのため「盗まれることはない」と安心しがちですが、実は簡単に盗むことができます。例えば指紋の場合、普段の生活で色々な物に触れるので、その度に指紋が付きます。顔の場合、様々な場所に防犯カメラや監視カメラが設置され、常に顔の映像が撮られていると言っても過言ではありません。そのようなものから簡単に指紋や顔の映像をコピーして盗むことができます。
もし、指紋や顔の映像が盗まれてしまったら、真っ先にやるべきことは認証情報の変更(再登録)です。しかし、手の指は10本、顔は1つしかありません。何度も再登録ができないのです。
そこで私が研究しているのが「持続可能な生体認証システム」です。これは生体認証の1つである筆跡認証とパスワードを組み合わせたものです。筆跡認証とは、ペンで文字を書く際の筆圧や書き順、ペンを持つ手の形などを認証に使う方法です。書いた文字をパスワードとして登録し、書いた文字とその筆跡の両方が一致しないと認証が通らないようにします。
この方法なら、たとえ筆跡が漏れても、パスワードを別の文字に書き変えて登録し直せば良いので、再登録が何度もできます。筆跡は文字ごとに異なるので、攻撃者は以前の文字から筆跡を予想することが難しく、パスワードが漏れても筆跡を真似できません。もちろん以前のパスワードを書いても、文字が異なるので認証は通りません。
この研究をはじめとして、世の中の誰もが安心して使いやすい生体認証システムを今後も研究していきます。

※図は本紙12ページに掲載されています。

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