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長崎県立大学 シーボルト校研究紹介 Vol.27

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長崎県長与町

長与町に立地する長崎県立大学シーボルト校。
すぐ近くの大学でどのような研究が行われているかをシリーズで紹介していきます。

■メディア理解にもとづく共感の場の可視化に関する研究
情報システム学部 情報システム学科
前村 葉子 講師

感情の計算手法(Affective Computing AC)に関する研究が注目されています。ヒトの感情推定については表情認識、音声認識、ボディのポーズ、生体信号などから体験者本人の感情を推定する研究が進められ、近年では体験者を観測対象とした観測者個人がどのように感じるのかという「共感」を扱うこともできるようになってきています。共感が人々の社会生活の基盤であることを考えると、共感の感情モデルの構築および様々な場面での検証は重要な研究課題となります。
ヒトの感情の獲得方法は種々あり、ACでは機械学習が感情推定の基本となっています。何らかの体験を外部要因として生起されるものとした場合には、感情体験者の生体反応、行動、認知的評価(知能検査、性格診断など)から得られたデータをもちいて主観感情を推定する問題とすることが多く、大量の機械学習用のデータが必要とされることから画像、動画、音声、テキストなどの各種マルチメディアにおけるデータセットやコーパスの開発が活発に行われています。
我々の研究室では共感の計算モデル構築と検証に関心を持っており、そこに向けてまず計算に必要な変数群を確認すべく「共感の場」の可視化を試みています。共感の場の形成には、媒介(メディア)が必要となりますので、対象素材となるメディアの理解にもとづき実験を計画する必要があります。今年の卒業研究では紙芝居上演映像を対象としました。ゼミでは紙芝居の特性や演じ方について理解したうえで、紙芝居上演の共感の場をモデル化しました(図1)。視聴者の視線特性は演者と舞台に集中していることを確認しました(図2)。そこで今回は演者のアイコンタクト動作、視聴者の視線および紙芝居の各場面に対する視聴者の主観感情を時系列で可視化しました。次のステップとして得られた時系列データをもとに視聴者の個人差をみていく予定です。

図1:紙芝居上演の場。矢印により観客・演者・舞台間の作用を示している。

図2:視線の分布(赤は視線が長く停留している箇所)
(※本紙に写真が掲載されています。)

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