■虚血性腸炎について
佐藤内科医院
佐藤 尚一先生
人間には、全身にくまなく血管が存在します。もちろん腸にも在ります。この腸にある血管の血流が、何らかの原因で流れなくなってしまうと起こるのが虚血性腸炎です。
虚血性腸炎は、腸のどこの部分でも起きますが、一番多いのは大腸それも下行結腸やS状結腸によく起こります。それらは、お腹の左の下側にありますので、虚血性腸炎の多くは急な左下腹部痛として発症します。また、多くの場合真っ赤な血便がみられます。
原因は、様々な要因が重なったものと考えられます。その背景には糖尿病や高血圧、脂質異常症、加齢変化などで起こる動脈硬化と便秘など腸内の状態が複合的に影響しあい起こると言われています。
急な左下腹部痛や血便があったらまずはかかりつけの先生にご相談ください。症状が軽い場合は外来での点滴などで対応できますが、ひどい場合は入院して食事を止めて治療を行います。
この病気は、きちんと治療すれば命にかかわることはあまりありませんが、その代わり再発が多いともいわれております。何度も急な下腹部痛や血便などが起こると患者さん自身も負担が大きいと思われます。ですので、日頃よりの生活習慣病のコントロールや便秘の解消などの腸内の環境を整える事が大切です。
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