■北有馬の石橋群
九州は全国的に見ても石橋が多い地域で、特に美しい弧を描くアーチ式の石橋はその9割が九州にあるといわれています。島原半島では、南島原市北有馬町で美しい石橋を複数見ることができます。有馬川の支流に架かる荒田下橋、田中橋、元平橋、坂下橋、面無橋の5つの石橋群は、地方の近代化を象徴する価値を持つとされ、平成31年に「有馬の石橋群5橋」として、県の有形文化財に指定されました。
これらのうち、面無橋には安山岩が、残りの4橋には玄武岩が用いられています。つまり、石橋をつくるのに適した石材としての溶岩が容易に手に入ったことが、この地域に石橋が発達した理由の一つです。
もう一つの理由として、橋を架けなければ渡ることができない川の存在があります。北有馬町付近には、雲仙火山の噴出物などでできた古い時代の地層が分布しており、これらの地層は新しい時代の地層と比べて水を通しにくいという特徴があります。降った雨は地面に染み込まずに地表を流れ、やがて川となり、谷が発達しました。人々は道を確保するため、洪水で流されてしまう木の橋ではなく、あえて手間のかかる石橋を架け、互いの交流を維持したのでしょう。
地域をつなぐ架け橋として、今も島原半島をつくった溶岩は地域の交流を支えています。
問合せ:島原半島ジオパーク協議会事務局
【電話】0957-65-5540
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