■雲仙市の木“ヤマボウシ”
今回は“雲仙市の木”に選定されている“ヤマボウシ”を紹介します。
ヤマボウシはミズキ科ヤマボウシ属の高木類で、大きなもので高さ15メートル程になります。4枚の白い大きな“花びら”を、白い頭巾をまとった山法師に見立てたことが呼び名の由来です。この“花びら”のように見えるのは、花びらではなく、つぼみを包んでいた葉の一部(総苞片(そうほうへん))で、花はこの総苞片の真ん中に密集して咲きます。ハナミズキに似ていますが、ハナミズキは総苞片の形が丸っこく、先がくぼんでいるのに対し、ヤマボウシの総苞片は細長く、先が尖っています。またハナミズキの実は小さくて苦く、食用には向きませんが、ヤマボウシの実は甘酸っぱく、ジャムや果実酒などに利用できます。
雲仙市の吹越(ふっこし)は、多くのヤマボウシが見られる場所として有名です。吹越付近は、橘湾から吹きつける湿った西風が雲仙岳にぶつかり、上昇して雨雲が出来る場所にあたるため、島原半島でも最も雨が多く降ります。豊富な雨は数十万年前にできた火山の山肌を削り、たくさんの谷をつくりました。この谷が、風通しがよく、そして湿気の多い場所を好むヤマボウシにとっては、絶好の生育場所になるのです。橘湾から流れ込む湿った風と、複雑に入り組んだ谷が、雲仙を代表する木・ヤマボウシを元気に育んでいます。
問合せ:島原半島ジオパーク協議会事務局
【電話】0957-65-5540
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