■雲仙市出身の菅兄弟
父を励ます作品展開催
雲仙市小浜町出身の画家三兄弟による絵画展「三ピン展」(5月25日〜6月22日)が長崎市の「PW/ギャラリー」で開催されました。出展したのは菅史孝さん、隆紀さん、雄嗣さん。技法もテーマも性格も異なる3人ですが、大病を患った父を励まそうと今回の作品展を企画しました。
会期中は多くの人が訪れ、最終日には3人によるトークショーも。長男で子どものころからCDジャケットが好きだった史孝さんは、架空のレコードショップをテーマに展示。「プロである弟たちとの作品展はいい刺激。絵をやっていてよかった」と話しました。
次男の隆紀さんはギャラリーのフロア全体をオレンジ色に染めて、ライブ感あふれる作品を披露。建物や壁に描いていたが「いつの間にか地球に描くところまで拡大してしまった」と笑いを誘いました。
三男の雄嗣さんは、兄たちとの展示に「プライベートを出しているようで恥ずかしい」と苦笑い。「芸術とは常にアップデートしていくもの。若いアートファンを増やしていきたい」と話しました。トークショーには父・雄一さんも駆け付けました。元気になった父の姿に3人は「企画展をやってよかった」と笑顔を見せ、「雲仙市でもぜひやりたい」と口をそろえました。
▽菅 史孝(すが・ふみたか)
1983年生まれ。2005年、名古屋芸術大卒。関東を拠点に作家活動をしていたが、東日本大震災を機に帰郷。現在は国見中で美術教諭をしながらアクリルや水彩をメインに絵画制作を行う。自然現象の変化に魅力を感じ、感情の動きや音楽などに見立てて抽象画を制作する。
▽菅 隆紀(すが・たかのり)
1985年生まれ。2009年、愛知県立芸術大卒。自身の存在を路上に記すグラフィティ(ストリートアート)の表現を参照して、旅先で出会ったアボリジニやアメリカ南西部のナバホ族に影響を受けた制作活動に取り組む。人間の根源的な行為や欲求をテーマに、絵画で表現する。
▽菅 雄嗣(すが・ゆうし)
1988年生まれ。2017年、東京藝術大大学院修了。茨城を拠点に東京で創作活動を行う。絵の具を削ぐなどさまざまな技法を駆使。プロジェクションマッピングで疑似的な構造物を生み出す空間芸術にも取り組む。一貫して「描くことは何か」を問いかける制作を行う。
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