■「子どもの歯を削らずに治療したい」
デジタル活用、新技術開発
「子どもの歯をなるべく削らないで治療する方法はないか」。研究の原点を語る。徳島大大学院医歯学薬学研究部チームの一員として、健康な歯を削らずに短時間で美しい歯をつくる技術を開発した。
これまでの虫歯治療は、詰め物や被せ物を歯に接着させるため、歯を治療部分以上に削る必要があった。開発した技術は、患者の歯並びなどをデジタル技術で再現し、3Dプリンターなどを使って修復を行うための外枠となる鋳型などを製造。口内で削ったり形を整えたりする作業がぐっと短縮され、患者の負担軽減と満足度の向上につながった。大学発のベンチャー企業を立ち上げ2023年5月、特許を取得。少しずつ全国に普及してきた。
子どものころは剣道少年。湯せんぺいの耳は今でも好きという。たまに帰省して感じるのは「小浜の夕日は唯一無二」。現在は、徳島大大学院で子どもたちの歯を守るため、デジタル技術を駆使した歯科研究を続ける。いつの間にか歯のことばかり。誕生日は11月8日。「いい歯の日です」。照れくさそうに笑った。
徳島大大学院助教
渡邉 佳一郎さん
[小浜町出身]
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