監査委員は、令和4年度決算について「計上されている計数に誤りはないか」「財政運営は健全であるか」「予算執行は適正になされているか」などの観点で、決算審査および健全化判断比率などの審査を行い、決算審査意見書を市長へ提出しましたので、その概要についてお知らせします。
※意見書は市公式ホームページに掲載しています。
■決算審査の結果
一般会計・特別会計決算書、附属書類の計数を関係諸帳簿その他証書類と照合した結果、誤りは認められず、また予算はおおむね適正に執行されていました。主な意見は次のとおりです。
▽財政状況について
財政健全化プログラムの着実な実施などにより、各財政指標は改善してきています。
令和4年度の一般税調定額は前年度と比較して増えました。これは個人住民税の増収や、国による中小事業者等への固定資産税および都市計画税の軽減が終了したことが要因です。しかし、長引く新型コロナウイルス感染症の影響で悪化した経済は、規制緩和により徐々に回復の兆しが見えるものの、今後の財源確保の見通しは引き続き不透明です。
市債残高は、前年度と比較して36億円余削減できましたが、公営企業会計を含め601億円余と多額です。
今後も国道153号バイパスなどの道路整備や、公共施設の長寿命化など、多くの事業を控えています。財政健全化プログラムに基づく収入確保と経費削減について、聖域なき見直しを進め、適切な行財政運営に努めてください。
▽収入確保・未収金解消について
令和4年度の未収金残高は1億3293万円で、目標達成率は100・9%となり、「第5次徴収対策プログラム」の着実な実行と、全職員の努力によるものと考えます。
しかし、一般税は総額1567万円の不納欠損処分を行っています。いずれも適法に処理されていましたが、公平な負担と安定した財源確保のため、引き続き未収金の解消に取り組んでください。
▽予算編成・執行について
実質収支比率は4・6%となり、予算管理はおおむね適正に行われたと認められます。
契約事務、予算執行事務および補助金交付事務はおおむね適正に処理されていましたが、事務処理上一部に改善を要する事項が認められました。
今後一層、関係法規、条例・規則等に基づいて的確な事務処理に努めてください。
▽特別会計について
未収金については昨年度と比較して、国民健康保険税は減少、介護保険料は増加しています。引き続き未収金の解消に取り組むとともに、不納欠損については、公平性確保の観点から厳正を期するよう努めてください。
国民健康保険直営診療所特別会計では、受診者数は増加しましたが、人口減少等に伴う地域社会の変化を踏まえた医療体制のあり方について引き続き検討をしてください。
公有財産管理活用事業特別会計では、さらに未活用の公有地の売却を進め、公有地の管理活用を図ってください。
藤沢、北原、長藤の各財産区特別会計では、財産区議会が廃止され、令和4年4月1日より財産区管理会へ移行しました。各財産区管理会の適正な運営により森林の保全・育成に努めてください。
■一般会計の概要
一般会計は歳入総額420億6542万円、歳出総額405億7465万円の決算額となり、歳入歳出差引額から翌年度への繰り越し財源を除いた実質収支額は9億7373万円でした。
■特別会計の概要
9つの特別会計は全て黒字、または歳入歳出過不足なしでした。
■公営企業会計の審査結果
▽水道事業
伊那市水道事業経営健全化計画の着実な進行管理により、8年連続で黒字を確保するなど経営努力を評価します。
人口の減少、節水意識の高まりなど厳しい経営状況にありますが、経営健全化計画に基づき、事業の見直し等による経費節減を行う中で、創意工夫により更なる経営の効率化を進め、安全、安心、快適で災害に強い水道事業の実現に努めてください。
▽下水道事業
伊那市下水道事業経営健全化計画の着実な進行管理により、8年連続で黒字を確保するなど経営努力を評価します。
しかし企業債の償還は令和4年度をピークに年30億円が必要となるため、経営健全化計画に定めた事業費の圧縮、水洗化率の向上による収入の確保などを進め、創意工夫により持続可能な下水道事業に努めてください。
▽自動車運送事業
令和4年度は大きな災害に見舞われることなく安定した運行を行いました。
今後も道路パトロールや車両点検を実施し、一層の安全運転に心掛け、開業以来の無事故運転を継続するとともに、経営の効率化と利用者の満足度向上に努めてください。
■財政健全化法による審査
実質公債費比率は6・8%、将来負担比率は平成28年度以降「数値なし」で、国の示した早期健全化基準を下回っています。しかし、実質公債費比率においては長野県19市平均と比べると高い水準にあるので、引き続き財政の健全化に努めてください。
問合せ:監査委員事務局
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