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伊那市長のたき火通信

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長野県伊那市

■フィンランド教育の根っこに学ぶ
フィンランド共和国に着いた翌々日、10月9日にヨエンスー市にある小中一貫校の「ヘイナバーラ小中学校」を訪問しました。校舎に入ると大きな暖炉の前で校長先生が迎えてくれました。フィンランドはもう冬の装いで、昨晩から降り始めた霙(みぞれ)まじりの雪が校庭に積もるなか、子どもたちは外で遊んでいます。始業のチャイムが鳴ると一斉に校舎に入ってきました。チャイムが鳴るまでは外で遊ぶのがルールのようです。「雪や雨の時も校舎には入らないのですか?」と聞くと、「この国ではそれが普通です。冬はマイナス20℃以下にならないと校舎には入れません」と言います。
小中学生の学級はひとクラス20~25名で、障がいをもった生徒も一緒に授業を受けます。日本の授業風景と違うのは、科目で解(わか)らないところがあっても、解らないまま先に進まないと言うことです。解らないところのある生徒は、別な教室に行って、別の先生から理解できるまで教えてもらい、解ったところで元の教室に戻るシステムで、それの繰り返しですから生徒の学びに取りこぼしはありません。ヘイナバーラ保育園に行っても、園児たちは霙の降る園庭で普通に遊んでいます。
ヨエンスー市教育局を訪れました。市で進める教育の求めるところを聞きました。すると「フィンランド教育に行き止まりはありません」、「学ぶことが重要で、試験のための学びは必要ではない」、そして「何より、学ぶことを学ぶ姿勢が大切なのだ」と、きっぱりと言います。
「ヨエンスー・メイン図書館」、「ビジネスヨエンスー」、「東フィンランド大学」、「リベリア林業専門学校」、世界で最も美しいと言われる「ヘルシンキ中央図書館Oodi(オーディ)」などを視察し、それぞれの担当者と意見交換を重ねましたが、すべての皆さんはとても親切に、丁寧(ていねい)に、真摯(しんし)に対応してくれました。そして驚いたことにどの方も異口同音(いくどうおん)に「フィンランドでは、すべての国民が森林を尊敬しています」と明快に話します。きっと長く厳しい冬や極夜(きょくや)・白夜(びゃくや)の世界に暮らし、森林に依拠(いきょ)してきた歴史と、森林から学ぶ姿勢がそう語らせるのだと思いました。

伊那市長 白鳥考

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