公民館報いな-いっぷく

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聞き上手だとか、話し上手だとかよく言われます。でも「聞く」ということは、難しいものだと思います。
聞きながら、次に自分が話すことを考えている自分がいるという経験はないでしょうか。本当に聞いていたのか、聞いていたふりをして話していただけではないかと振り返ることがあります。
「聞く」の達人、ミヒャエル・エンデ著の「モモ」をご存じでしょうか。その一節には「小さなモモにできたこと、それはほかでもありません、あいての話を聞くことでした。」とモモのことが紹介されています。モモは、いい考えを引き出すようなことを言ったり質問したりするわけでもなく、ただ、じっとすわって、注意深く聞いているだけなのです。でも、モモに話を聞いてもらっていると、いい考えが浮かんできたり、勇気が出てきたりするのだそうです。
「相手の時間を奪う聞く」と「相手が豊かな時間とできる聞く」があると言われます。本当に「聞く」ためには時間が必要、じっと待つ心の余裕が必要かもしれません。

教育長　福與雅寿(ふくよまさとし)