でんだ・かつひこ(美篶)
フリー編集者。今年2月、県内784か所の一本桜を紹介する「信州の一本桜」全8巻を刊行。また8月に、新書版のガイドブック「歩きながら出会える順-木曽駒ケ岳の高山植物」(ほおずき書籍)を、9月には、「歩きながら…」の写真をより大きく見ることができるようにB5判の「中央アルプス 木曽駒ヶ岳に咲く花」を刊行。
■伊那に住んで14年、撮りためた写真を本に
「撮り始めたら、よし全部撮ってやろうとなってしまった」。伝田さんは今年、県内の一本桜をまとめた本と、木曽駒ヶ岳に咲く高山植物をまとめた本を刊行しました。
伝田さんは、教員だった父親の転勤に伴い県内各地で暮らす中、高校1〜2年生の2年間を伊那市で過ごしました。東京の大学へ進学後、都内で編集などの仕事に携わり、2010年、多感な少年時代を過ごし、高校の同級生が大勢いる伊那市へ移住しました。
箕輪町の権現桜や高遠町勝間薬師堂のしだれ桜などを「すごいなあ」と写真を撮っているうちに方々へ足を運ぶようになりました。桜が咲く3月末から5月頃までは連日の桜めぐりで、1番多い時には1日で50ヵ所を回ったことも。何年もかけて県内の一本桜を撮影し、編集の仕事の経験を生かして自身でデータをまとめ、本にしました。
「一本桜の魅力は花よりも樹そのもの」。書籍にまとめるうえでこだわったのは、樹全体の写真を載せること。「樹齢が若く元気に花をつける桜も綺麗ですが、若い木とは違う古木の持つなんとも言えない魅力を皆さんに見てもらいたい」と話します。中にはさまざまな事情により伐採されてしまう桜もあり、「桜を大事にしてほしい」という願いを込めて、あえて伐採されてしまった桜の写真も載せました。
その伝田さんが8月に刊行したのが『歩きながら出会える順口木曽駒ヶ岳の高山植物』。大学で山岳部に入部して本格的な登山を開始した伝田さん。ヒマラヤ遠征隊の隊長も務めました。伊那市へ移住し、木曽駒ヶ岳に何十回も足を運ぶ中で、そこに咲く高山植物を写真に収めました。
この本では実際に山を登った時に出会うことができる順番でまとめており、「花を見て、ただ『綺麗ね』と言って通り過ぎてしまわず、もう一歩足を止めてほしい。この本を手がかりに植物を探してもらえたら」と言います。
夫婦でいろいろなところへ出かけることが多いという伝田さん。「伊那市はどこもすばらしいところだらけ。もっと出歩いて、そのすばらしさを見つけましょう」と笑顔で話してくれました。
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