■古文書解読コンテストがスタート
古文書のデジタル化及び活用 前田和弘(まえだかずひろ)さん
令和5年4月に地域おこし協力隊に着任。古文書等の歴史資料整理や解読、デジタル化を進め、これまでに「江戸めし給食」や「磯田道史氏講演」など、市民が古文書に気軽にかかわれる企画を実施する。
古文書は、AIを活用しても解読が困難なデータベースです。直観力の優れていた時代の人たちが手で書いたものであり、我々日本人が生きる理由を指し示してくれるものでもあります。渡辺京二の『逝きし世の面影』には幕末の日本人の姿が、西洋人からの目線で生き生きと書かれており、妖精のようだと度々表現されています。この本に書かれているような人々に私は何度も会ったことがあります。2年間ほど、車中泊をしながら全国の田舎を転々としていたことがあるのですが、山奥で出会う人々は実に素朴で、人懐っこくて、唄や踊りが大好きな人々でした。私も仲間に入れてもらい、よく一緒に唄い、踊りました。そこには体から沸き起こるエネルギーがあり、私もそれを確かに自分の中に感じることができました。
グローバル化が進んだ現在、世界がフラットになり、一週間ごとに技術革新のビッグニュースが飛び込んでくるスピード感の中で、何も考えていないと、人はただただ藻屑のように濁流に流されるだけとなってしまいます。ネット通販で買い物をして、スマホでゲームやSNSをし、
配信動画を見て時間をつぶし、気付かないうちに搾取されるだけの日々を過ごすということになってしまいます。体の中から沸き起こる強い意志を持っていないと、これにはなかなか抗えません。芥川龍之介が言った「ぼんやりとした不安」は、最早ぼんやりとではなく、大きな存在感を持って襲い掛かってきます。そこにどうやって立ち向かっていくか。その答えが必要です。
私が古文書にかかわろうと思った理由は、このようなことからです。古文書が日本人のルーツそのものだからであり、全国で億単位の古文書が読まれないまま失われつつあるという現状を知ったからです。これを日本全国に知らしめよう。伊那高遠の古文書の解読を一気に推し進めよう。そして伊那市のPRに繋げていこう。そんな思いで、「第一回古文書解読コンテスト」をスタートさせました。
10月5日~1月31日で開催中です
問合せ:地域創造課 移住定住促進係
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