野鳥の生態を、40年以上観察し続けている戸谷省吾(とやしょうご)先生から「ガビチョウ」という初めて名前を耳にする鳥が上伊那にも出現していることを教わりました。
2年後ガビチョウを想像させる、美しく張りのある鳴き声を耳にしました。何種かの野鳥の囀りも真似できる能力も備えているようでした。翌年には、家の前の柿の木から、力強く響き渡る囀りを何度も聞きました。目を凝らすと、生い茂る枝葉の中に動く黒っぽい影がわずかに見えましたが、すぐに飛び去ってしまいました。それからは色や大きさ、顔の特徴を頭に入れて姿を追い続けました。出会いは突然やってきました。ウグイスの声をよく聞く笹薮の辺りからその声がしていました。静かに2mほどに近づくと、ガサゴソと音がしてツグミ大で、茶褐色の目の周りが白い鳥をついに見つけました。
幸運にもやっと出会えたガビチョウでしたが、実は人の手で放たれた100種の特定外来生物に指定されていました。優れた適応力により、ウグイスが繁殖場所を追われる心配があります。複雑な思いのする新たな「ガビチョウ」との出会いでした。
美篶公民館長 宮下徳雄(みやしたとくお)
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