公民館報いな-いっぷく

46／59

この公民館報が届くのは、ちょうど年末年始の準備をしている頃でしょうか。
数年前のこの時期に「館長さんの家の年取り魚は鮭ですか、鰤(ぶり)ですか」と聞かれたことがあります。
私が即座に「家は鮭だけど」と答えると、「伊那地方は鰤が多いと聞いていますが、館長さんのところは鮭なんですね」と、意外な様子で返されました。
私の家はかつて米作りや果樹栽培をしていましたので、秋に収穫を終えると、親戚に新米やりんごを送っていました。そのお返しに東京の親戚からは、毎年新巻き鮭が送られてきました。そんなこともあり、私の家はずっと鮭が年取り魚となっています。
大みそかの一品は、鮭を茹(ゆ)でて塩を抜き、そこに刻みねぎと一緒に温めた粕汁(かすじる)をかけるという単純なものですが、これがないと年取りという気がしません。きっと皆さんのお宅にも、大切にしているその家独自の年取りの風習があることと思います。
2025年新しい年が始まります。今年こそ、災害のない良い年になることを願っています。

高遠町公民館長　矢澤淳(やざわあつし)