■任期を振り返って
会長 有馬久雄(ありまひさお)
私達、第25期農業委員(委員33名)は、令和4年4月から令和7年3月までの三年任期で活動してきました。農地は個人の財産、営農は個人の事情ですが、「人と農地」に関する諸課題は、様々あり増加しています。その中で、解決できた案件があれば、できなかった案件とがありましたが、その都度各地区の組織役員の方、担い手の方の理解と協力を得て活動に当たることができ、一定の成果を出せたと思っています。
次期、第26期農業委員は、再任15名と新委員19名となりますが、地区に合った解決策を選び、迅速に進めていくようにお願いします。
市内9地区で活動に当たってきましたので、各地区の農業振興委員(委員兼ね)から報告させていただきます。
▽[伊那地区]農業振興委員 池上朝男(いけがみあさお)
地区委員:宮下平治、小池正倫網野純昭、有馬久雄井口功、網野澄子小池和弘
市街から四方に至る旧村境まで、市街地は、用途地域のため宅地と農地が混在し、また、伊那西部エリアや竜東北部エリアは、広範囲に農業振興地域となっているため、それぞれで事情が異なります。
その中で、市街地では農機具運行や農薬散布などに苦情があったり、道路や水路の改修が進まない等農業がしづらい所で、ここで営農を続けたい農家に対して、支援策が少ないことが気がかりです。
また、御園のアクセス道路沿いの未来法による開発計画案や、高校再編に伴う町づくりに関心が寄せられています。
▽[富県地区]農業振興委員 丸山重昭(まるやましげあき)
地区委員:櫻井康雄、竹松康弘
集落営農を母体とする農事組合法人と、個人の認定農業者等とバランスが取れた地区で、地域内解決を図ろうとする機運が強くあるため、相談案件が出ても相談先が見込め、そこを頼りに調整することができました。
最近の話題は、山間傾斜地などは道路・水路等の修繕が進まない箇所があるため、5年水張りへの対応か、畑地化への選択か、関心が高くなっています。
▽[美篶地区]農業振興委員 赤羽正博(あかはねまさひろ)
地区委員:諸田浩、小林達男
下段三峰川沿いと上段エリアに農地の団地化があり、営農形態は、稲作を主に野菜や花き栽培となっており、減農薬栽培への取り組みや、農産物の品質に対する各表彰もあることからも、生産農家は懸命に営農に当たっていることが伺えます。
しかし、農地マッチング時は、規模拡大を希望する農家が少ないことから苦労しました。今後は、新規就農者と団体企業等の参入も視野に入れ、バランスがとれた営農体制が必要かと思います。
▽[手良地区]農業振興委員 入江光(いりえひかる)
地区委員:池上ミドリ
大きな変化がなかったことは良いことで、個別案件に対応することができました。
遊休農地の解消や、新規就農者への支援など、人と農地にかかる活動に当たることができました。また、隣接する伊那・美篶とも連携が取れた動きがとれました。
現在は、専業農家と法人企業により、地域農業が支えられていますので、順調に継承され拡充していくことを期待しています。
▽[東春近地区]農業振興委員 小笠原幸治(おがさわらこうじ)
地区委員:湯澤徹、伊東秀岳
昔から様々な事業に先例的に取り組んできた地区で、先人から引き継いだ農業資産と、住民に「結」的精神が残っているのが良いところだと思います。
任期中の活動では、狭小圃場解消と、農地マッチングの取り組みに力を入れ、担い手への集積90%超を維持できました。
さて、上段(東原〜東原新田)では、県道沢渡高遠線を境に、北側は、工業団地拡張により様変わりしますが、南側は、これから圃場整備事業の準備が進んできます。いずれ、担い手農家や法人が営農しやすい環境が整うこととなります。
▽[西箕輪地区]農業振興委員 有賀禎一(あるがていいち)
地区委員:唐澤博英、泉澤國人
伊那インター付近は、宅地化が進み、羽広工業団地の拡充も進みました。
農家の営農形態は、稲作と野菜・果樹が多く、市外畜産農家の入作による牧草地があるのが、地域の特徴だと思います。
新規就農希望地として、就農に至るケースが多く、若手の育成の場にも選ばれました。今後も宅地化が進むことが予想されるところですが、優良農地内へ果樹と野菜の団地化と、みはらしファームの活性化への取り組みが必要です。
▽[西春近地区]農業振興委員 唐木博文(からきひろふみ)
地区委員:唐木みはる、梶野勉大久保智明
西部広域農道沿いは、農業振興地域の優良農地が保たれ、営農が継続できるように努めたところですが、個々の事情により離農者が増え、遊休農地が出てきてしまいました。
解決へ向け地域担い手や営農組織の力を借り、新規就農者等への農地マッチングなどに取り組みました。また、ある地区集落農業振興センターでは、主導して解決に当たってくれました。
さて、国道153号線伊駒バイパスは、宮田から下牧・表木を通過し、天竜川を横断し東春近田原へと続く事業計画で、連絡道路が、下牧付近からの接続となり、これから長い時間大工事が予定されます。営農に支障が少ない工事の進捗と、バランスがとれた環境整備が進められることを期待します。
▽[高遠地区]農業振興委員 北村顯彦(きたむらあきひこ)
地区委員:伊澤雄一、伊東基博原一郎、向山卓己
R152から諏訪へ抜ける長藤、藤澤の遊休荒廃農地への対応を多く取りました。
現況が原野・山林で農地を再生しても見込みが立たないところを見極め、「非農地化」することで進めました。
しかし、このような農地は約130haあり、解消しても新規発生を繰り返す鼬ごっこの感があります。
相続未登記は、この先、何かの手続きをとろうとする時、手間と時間がかかります。自分の代で整理しておきたい案件がありましたら、専門家や農業委員へ連絡ください。
▽[長谷地区]農業振興委員 宮下由紀夫(みやしたゆきお)
地区委員:池上敏明
長谷の人口は1400人台が近づき、高齢化率も40%超と過疎化が進行しています。
農業については、山深く日照が長くとれず、何を作っても獣の被害を受ける地区なので、一軒でも長く農業が続けられるように努めてきました。
その中で、若い方が中古住宅付き農地を取得し農業を始めたり、減農薬米の海外輸出を手がける法人の事業拡大や、固有種の入野谷そば栽培など特化した取り組みがありました。今後も有害鳥獣の計画的な駆除が継続され、間伐等の環境整備を進めてください。
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