本市では、令和6年度から第二次塩尻市教育振興基本計画に基づく新たな不登校支援を開始しました。今回は、その概要をご紹介します。
■自分らしく生きる姿に寄り添う
不登校はどの児童生徒にも起こり得ることで、不登校に至る要因や不登校が継続している理由はさまざまです。また、不登校の時期が休養や自分を見つめ直すなどの積極的な意味を持つ場合がある一方で、学業の遅れ、進路選択、社会的自立などへのリスクを生じさせる可能性があることにも留意する必要があります。
本市では、一人ひとりの育ちに丁寧に向き合いながら、子どもたちの自分らしく学び、自分らしく生きる姿に寄り添い、将来の社会的自立に向けた支援を進めます。
■新たな取り組みで相談機能を強化
6年4月に、不登校支援のさらなる充実を図るため、これまで設置していた中間教室の機能を強化した教育支援センターを設置しました。
教育支援センターでは、「学校に登校する」という結果のみを目標にせず、児童生徒が社会的に自立することを目指し、さまざまな関係機関と連携した支援を行っています。
また、全児童生徒の1人1台端末に、心と体の状態を可視化する機能と匿名チャット相談機能を備えたアプリケーションを導入。小さなSOSを見逃さず、心の不安や生活リズムの乱れにいち早く気付き、必要な支援につなげられる体制を目指し、取り組みを進めていきます。
■さまざまな学びの場の環境整備
不登校の背景には、さまざまな事情があり、要因があります。悩みや生きづらさを抱えながら毎日を過ごしている不登校児童生徒の社会的な自立を目指すためには、多様な学びの場を確保し、一人ひとりに寄り添った支援が必要です。
本市では、教育支援センターが中心になって不登校児童生徒の学びの場を確保し、学びたいと思った時に学べる環境を整えるため、新たな取り組みを始めました。
・教育支援センターによるフリースクールなどの民間施設との連携促進
・学校の空き教室に安心して学べるスペシャルサポートルームを設置
・塩尻西小学校の4階に高ボッチ教室(中間教室)の「チャレンジルーム」を開設
・塾講師による個別支援や、eスポーツ体験などを随時開催
・いずみ塾広丘駅前校と連携した、不登校児童生徒向けの平日昼間の学習支援
■子どもと保護者をみんなで支える
一人で悩んでいる子どもや保護者に必要な情報が届けられるよう、市のホームページをリニューアルし、学校内で受けられる支援や、学校外で受けられる支援などを分かりやすく掲載しました。今後は随時更新し、「チャレンジルーム」の講座などについて情報を発信していきます。
また、不登校の子どもを持つ保護者が一人で悩みを抱え込まないよう、市教育委員会主催で「育ちを見つめる笑顔の会」を定期的に開催し、親同士の交流の場を継続して確保します。
◇不登校支援の情報が欲しいとき、まずは市ホームページをご覧ください!
市教育委員会ではさまざまな支援を行っています。子どもの不登校に悩んでいる保護者などに向けて、支援内容を分かりやすく掲載中です。
■[Interview]いずみ塾広丘駅前校 講師 高木 徹也さん
◇子どもの学習を支援し親の安心へつなげる
不登校の児童生徒の支援は、ボランティアで行っている場合が多い状況ですが、人が代わるなどの要因で安定して継続的な支援ができない現状があります。そこで、学習支援ができるという塾の強みを生かして継続的な支援をしたいと思い、塩尻市と連携して新たな取り組みを始めました。
現在は週1回、平日の午前中に不登校の児童生徒の学習支援をしており、支援内容は在籍校にも報告しています。勉強が一つのコミュニケーションツールとなるため、自然と子どもとの会話につながっていますね。また、親の心配は学習面にあると思います。子どもの学習を支援して、親の心理的不安を解消することも一つの目的です。
学習したい子もしたくない子も、まずは来てみて外出のきっかけにしてほしいです。そして、塩尻市での取り組みが他の市町村にも広がって、多くの子どもとその親が安心して過ごせるようにしていきたいですね。
◇基本情報
対象:支援の必要な小・中学生
日時:毎週火曜日 午前10時~正午
※時間内は出入り自由です。
持ち物:筆記用具、勉強したい教材(ある人)
問い合わせ先:【電話】080-3465-7186
※費用はかかりません。
■[Interview]教育支援センター 主任コーディネーター 小松 亨
◇多様な学びの場を確保し、支える
教育支援センターでは、不登校の児童生徒への支援に加え、その保護者が必要とする情報を提供するとともに、子どもたちがさまざまな学びの場や居場所につながることができるように取り組んでいます。
子どもたちの興味・関心を大切に、個々のニーズに応じながら、学びたいと思ったときに安心して学べるように、学校以外の民間施設などとも連携しています。
今年度から学校のスペシャルサポートルーム(校内中間教室)の充実や設置促進のお手伝いもしています。
不登校はどの子どもにも起こり得ることです。しかし、自分の子どもが学校に行かなくなったら不安に感じる方も多いと思います。そんな時はぜひ相談に来てください。ありのままの姿を認めながら、社会的な自立を目指した支援を一緒に考えたいと思います。
◇[6月から順次開始]こども相談チャットアプリ
子どもを取り巻くさまざまな問題の早期発見を可能にする相談アプリです。各校で配布される端末などで操作することができ、毎日の気分・体調チェックやチャット機能で支援者に相談することができます。
アプリの特徴:
・気軽に相談ができる
・悩みや気分・体調の変化を自分で把握できるようになる
◇育ちを見つめる笑顔の会
不登校の子どもを持つ親のお話し会です。親同士が交流し悩みの共有をしたり、講師を招き講演会を行ったりします。ぜひ一度お越しください。
※詳しくは本紙をご覧ください。
問合せ:学校教育課児童生徒支援係
【電話】0263—52—0280(内線)3113
<この記事についてアンケートにご協力ください。>