穏やかな春の日、地区の十九夜講に参加した。親しみを込めて「十九夜さん」と呼ばれる安産祈願のお祭りである。
毎年三月、近所の女性達が集まり、道端にある石像の観音様にお線香を上げ、おまる(団子)をお供えしている。その後は持ち寄った料理を囲みながら話に花が咲く。今年も楽しい時間となった。
医療技術が進んだ現代でもお産は危険を伴う。安産を願い母子の健康を祈る気持ちは、今も昔も変わらない。
少子化がいわれて久しい。私が最後に赤ちゃんを目にしたのはいつだっただろうか。ふっくらとした頬に小さく握った手。柔らかな空気を纏った愛らしい姿が思い浮かぶ。子は宝。子供達が健やかであって欲しいと願うのは、大人達共通の思いだ。
今年も無事に小海町の入園・入学式が行われた。お子さんの晴れ姿を目にし、どのご家庭も喜びに包まれたことだろう。
通学路の脇で、十九夜観音は静かに子ども達を見守っている。福寿草が咲く暖かな日差しの中、十九夜さんに手を合わせ、子ども達の元気な声がいつまでも聞かれますようにと祈った。
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