■Vol.36 部分強化
今回は「部分強化」について。
みなさんは「ギャンブルにハマる心理」をご存知ですか?「ギャンブルにハマる心理」は実は恋愛にも関わってきます。
その話を解説する前にまずはギャンブルにハマる心理の説明をします。学者のスキナー氏がやった有名な実験ですね。
彼はレバーを押すとエサが出てくる装置を設置した箱の中に、空腹のネズミを入れてその行動を観察しました。そこにはレバーが設置してあり、ネズミが動き回っているうちに偶然レバーに触れると、エサが出てくる仕掛けもありました。そして、レバーに触れてエサがもらえるということを繰り返しているうちに、ネズミは「レバーを押せばエサがもらえる」ということを学習します。そして一度学習すると、ネズミをいったん箱から出して時間をおいた後に再び箱に入れてもレバーを押すという行動をとるようになります。
ここからが本題です。彼はレバーを押せば必ずエサがもらえるグループと、レバーを押しても必ずエサがもらえるわけではないグループの2種類を用意しました。ここでは、レバーを押しても必ずエサがもらえるわけではないグループのネズミも、「レバーを押せば時々エサがもらえる」ということを学習します。その状態で、双方ともにレバーを押すことを学習した後、両グループともレバーを押してもエサを与えることを一切やめました。
すると、必ずエサが出てきていたグループのネズミは「エサが出てこない」とあきらめてレバーを押さなくなったのに対し、レバーを押してもエサがもらえなかったことがあるグループのネズミはレバーを押し続けるのをやめなかったんですね。
このネズミの中では『今回はもらえなかったが、次はもらえるかもしれない』という期待が生まれており、それが無くなってからも、その期待が反応を続けさせていたというわけです。
ギャンブルにハマる心理というのはこういった心理なのですね。これを心理学では部分強化と呼んでいます。
もちろん、この部分強化はギャンブルだけの話ではありません。恋愛も同じです。たまに起きるからこそ、待ち望む。それゆえ中々忘れられなくなることだってあります。これは、メールの返信などでも起きます。
友人の話ですが、友人はLINEの返信が遅く、よく返信が途切れてしまうんですね。だけど、それを申し訳ないと思っているせいか、時々しばらく経ってから思い出したかのようなタイミングで返信をするんですね。これを繰り返していたおかげで、友人はある異性から約1年にもわたってアプローチされ続けたということがありました。この状況はまさしく「部分強化」ですね。
部分強化は意識的に使うには非常に難しいですが、これで起きた感情は中々消えにくいということだけは覚えておいてくださいね。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>