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第17回 白馬村の農林業(里地里山)

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長野県白馬村

1.里地里山
日本の農村を構成する里地里山は、そこに住む人々が長い時間をかけ、農林業を営むことによりできた日本の原風景です。白馬村も、先人が骨身を惜しまず里の田畑を耕し、山の柴刈り(木の枝刈り)をし、観光の礎となる、登山道・山小屋・スキーリフトを整備し、オリンピックを開催したことで、世界各地からお客様をお迎えできるようになりました。
整備された里地里山は、草花、昆虫、鳥などが生息する空間になり、農地から眺める白馬三山が、村民にとって常に身近な存在であったことから、時代時代の子どもたちの豊かな感性を育み、田んぼ、小川、里山は、生活に“うるおい”をもたらします。

2.営農形態の変化
昔は、自分の農地は自分で耕作することが当たり前でしたが、高齢化、米価下落、農業機械の大型化等の理由により、農業は、担い手農家(認定農業者)に託される時代になりました。白馬村に限らず、農地面積に対して担い手農家は不足しており、昔とは状況が変化してきました。例として、貸したくても借りる農家が見つからない、*1農地賃借料(小作料)と*2地改良区賦課金の課題などが挙げられます。
今、営農している個人農家も、機械が動かなくなったら、担い手にお願いしたい旨の相談が寄せられています。農業は作付けも大変ですが、春から秋の草刈りが大きな負担です。このため、村は、所有者に草刈り等の環境整備と鳥獣被害対策を担っていただき、担い手農家の負担軽減と草刈りの脱炭素化を図るため、令和4年度より、小規模農家向けに充電式草刈機等補助金を交付しています。
*1 農地賃借料(小作料)
平成21年12月の農地法改正により「標準小作料制度」が廃止され、各農業委員会が地域における賃借料の目安を提供し、実情により、当事者間で決定できること。
*2 土地改良区賦課金
土地改良区が実施する事業、農業用水利施設の維持管理、農地の保全等により恩恵を受ける受益者が負担するお金のこと。

3.農地形態の変化
農地は、農業機械の大型化、効率的な営農のため、1枚当たり3反部(30a)程度の、ほ場整備が進み、神城地区では昭和40年代後半から平成初頭までに完了しています。
北城南部地区(深空、白馬町、瑞穂周辺)は、現在、工事が進んでおり、北城北部地区(新田、森上周辺)は、事業化に向け調整が続いております。面積が1反部に満たない狭小農地で営農してきた農家は、農地の大きさに戸惑うとの意見もありますが、個人農家から狭小農地を託されてきた大規模農家にとっては、大型農業機械の能力を発揮できるため、より生産性が高く、効率的な営農が可能となります。
ほ場整備は、耕作放棄地を増やさない、食料供給、営農形態に合わせ末永く農地を守っていくために必要な事業ですが、周囲の風景、環境との調和が大切になります。このため、北城南部地区では、貴重な植物の移植や景観対策として石垣を残すなど、県、村、地元実行委員会、保護団体等で話し合いのうえ進めています。

4.環境省選定「生物多様性保全上重要な里地里山」
環境省は平成27年に、さまざまな命を育む豊かな里地里山を、次世代に残していくべき自然環境の一つであると位置づけ、「生物多様性保全上重要な里地里山」を500箇所選定しました。長野県は26箇所、白馬村は2箇所選定されています。

◆青鬼集落(あおにしゅうらく)
○選定理由
村の北東の山腹に位置する小さな山村集落であり、山裾に続く棚田と伝統的な民家群からなり、集落越しに北アルプスの山なみが広がっている。昔ながらの農業に根ざした活動を続けながら、石垣の棚田と山腹水路である「青鬼堰」が保全されており、アキアカネやホソミオツネントンボなど里地里山に特徴的な種が確認されている。

◆北城西山地区(ほくじょうにしやまちく)
○選定理由
村の北西部に位置し、後立山連峰を背景に農山村地域が広がっている。農地、草地を含むモザイク状の土地利用が維持されており、山麓には、フクジュソウやハッチョウトンボなど里地里山に特徴的な種をはじめ、希少な動植物も数多く生息する。また、豊かな里地里山生態系のシンボルである猛禽類の生息も確認されている。

◆環境省リーフレットより
選定された「重要里地里山」は、地域におけるくらしや営み、保全活動等の取組を通じて守られてきた豊かな里地里山を広く国民のみなさまに知ってもらうためのものです。また、地域における農産物等のブランド化や観光資源などにも、広く活用できるものと考えています。
地域を取り巻く社会的・経済的条件の変化により里地里山の保全活用のあり方は変化していく場合もありますが、今回の「重要里地里山」の選定により、地域の人々のくらし、農林業の営みや土地の利活用等に対し新たな制約や規制等を生じさせるものではありません。また、各主体に、これまでと同様の方法で里地里山を管理し続けることを義務付けるものでもありません。

お問合せ:白馬村役場 農政課
【電話】0261-85-0766

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