1.状況
ここ数年、全国的にクマ目撃や被害が報告されています。日本に生息するクマは、北海道に生息するヒグマと本州・四国に生息するツキノワグマに大別されます。記憶に新しい人身被害は、昨年11月30日に秋田県内のスーパー内に体長約1メートルのクマが侵入し、従業員が襲われる被害がありました。当村では、平成から令和に掛け6回、人身被害がありました。
以前、クマは4年周期で大量出没すると言われていましたが、最近は、連続で出没することもあります。
・白馬村行政公式ホームページ「クマ注意事項」
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◆年度別クマ目撃数 R6.11.7現在
2.出没分析
里へのクマ出没増加は複数要因が考えられます。
(1)山のドングリ等食料が減少したため
自然条件により豊凶の波は必ずあります。当村は近年、ナラ枯れが大発生しているためドングリが減少し、目撃数が増えているとの見方もあります。ナラ枯れ処理のため、山に入ると、ドングリが雨のように落ちてくることもありました。特に昨年は9月以降、ドングリが豊富で目撃件数が激減しました(65件のうち、4から8月:58件、9から11月:7件)。このため一概にナラ枯れにより、里にクマが出没するとは言えない状況です。
(2)人里にある食料の味を覚えたため
山のドングリ等が少ないと、クマは冬眠のため食料を求め人里に下りてきます。当村では、過去にスキー場付近の残飯を食い荒らされた、山際の稲が食べられた、自宅付近のリンゴが食い荒らされた等の事例があります。里の味を覚えさせないための対策が必要です。
(3)猟師(ハンター)が減少したため
全国的には猟師が減少傾向のため、クマの捕獲頭数が減少しています。しかしながら、当村ではベテラン猟師の指導のもと、新規の猟友会員が増加しており、中には狩猟免許を取得した若手職員もいます。
(4)人が山に入らなくなったため
かつて、里山は、人間の生活に必要な薪等の採取に利用されていましたが、化石燃料が主流になり、人が山に入らなくなったことにより、利用されない森林が増え、クマの生息適地となりつつあります。現在は所有林の所在・位置が解らない所有者がほとんどです。
(5)山と里の境界が曖昧になったため
人が山に入らなくなったことや人口減少のため、山と里の境界整備ができていません。このため、クマは“いるべき場所”が解らなくなっているとも言えます。
3.落倉村有林緩衝帯整備
令和6年7月から11月にかけ、落倉区東側の浅間山(せんげんやま)付近の村有林を集中的に緩衝帯整備しました。ここは、散策やマウンテンバイク等の利用がありますが、以前は整備が行き届かず、うっそうとした状態で、クマ目撃や大型クマが捕獲されたこともありました。集中整備したところ、クマ目撃はなくなり、長野県による定点カメラ・ドローン調査でもクマの確認はされず、高い効果がありました。
お問合せ:白馬村役場 農政課
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