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自治体の皆さまへ

白馬村のDX推進を通してみえた目指すべきもの

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長野県白馬村

白馬村デジタル統括監 菅 光也

今回は『DX』というフィルターを通して見た、現在と未来の白馬村についてお伝えさせていただきます。
まず、白馬村ではこの2年間DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進してきたわけですが、白馬村の『自治体DX』についてはまだ達成できていません。皆さんの頭が“⁉”になったと思いますが、皆さんの⁉を解消するために自治体DXについて説明していきます。
一般的にはDXに至るまでには3段階の道程があり、1段階目ではデジタイゼージョン(紙をデジタル化する)、2段階目ではデジタライゼージョン(デジタル化したデータ作業の自動化を行う)、3段階目でようやくDXデジタルトランスフォーメーションになります。それではDXとは何かというと、「地方創生の実現」がDXの究極の目標だと私は考えます。2段目のデジタライゼージョンを実施すればDXが達成できていると考える方もいるかもしれませんが、それは本当の意味での自治体DXではないのです。
では、なぜ『地方創生の実現』が自治体DXの究極の目標かという点について、自治体DXが注目された経緯に触れながらもう少し詳しくご説明します。
ことの発端は2013年に増田レポートが発表されたことでした。内容としては「人口減少問題と消滅可能性自治体」が記載されており、その増田レポートを踏まえて全国の自治体が総合計画や総合戦略等の計画書を作成し、政府も2014年の安倍内閣から地方創生(地域おこし)が始まりました(現在は石破内閣が地方創生2.0に引き継がれております)。その地方創生を元に2018年にデジタル田園都市国家構想が始まり、自治体DXが注目されることになりました。そのため、地方創生を実現することこそが自治体DXの本懐と言えるのです。
それでは『地方創生』とは何か。私なりに要約すると、地方創生とは「東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的とした一連の政策」です。これによってできた身近なものに、ふるさと納税や観光立国、インバウンド政策等があります。つまり、地方創生とは自治体の人口減少に歯止めをかけ活力を上げることであり、それこそが自治体DXの本来の目的になります。
しかしながら、直接的に人口減少に歯止めをかけることとDXの関連性を示すことはできません。いかに間接的に人口を増やすかについて考えてみます。一般的に人が移住を決める理由で多いのは暮らしやすさや仕事の選択肢の多さなどです。自然環境で移住先を選ぶ方もいますが、経済的に自立できる土地であることから選ぶ方が多くいます。白馬村においては、風光明媚な場所であることから、経済的にも安定した豊かな場所になれば人は自ずと増えるはずであると考えます。経済的に豊かにする方法として、白馬村は観光に関する関係人口が最も多いため、観光が安定して盛況ならば企業やお店も増え、結果的に雇用も生まれ、賃金も上がり、より大きな経済圏が生まれると言えます。ここで大切なのは、そこで生み出されたお金が地域内で循環する環境があることです。そういう環境があれば自然に人口を回復することができると言えます。
このことを踏まえ自治体DXがやれることを考えた際に出た一つの答えが『デジタル地域通貨』です。デジタル地域通貨により、地域経済の流れをとらえながら外貨(白馬村外からのお金)の流れを見える化し、そのお金が地域内で循環ができる仕組みを考えております。デジタル地域通貨により、今までにない様々な住民サービスが実現でき、観光客だけでなく住民にも使用してもらえる仕組みを形成することで、行政事業がより効率的な経済効果を生むものになると考えます。その結果、よい地域内循環の生まれた白馬村に様々な働き方が増え、利便性があがり、定住する魅力を創出することで、白馬村の人口増に寄与できるのではないかと考えます。『デジタル地域通貨』の成功のカギは、地元住民や企業、白馬ファンの方々など、白馬村を想う皆様の協力です。DXといっても、重要なのは、やはり『人』です。未来の白馬村を明るく良い村にするためにも、今後とも皆様のご協力をお願いします。

お問合せ:白馬村役場 総務課
【電話】0261-72-7002

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