文字サイズ
自治体の皆さまへ

オブシディアン通信 No.096

4/30

長野県長和町

『オブシディアン(obsidian)』とは、英語で黒耀石という意味。黒耀石の代表的な原産地は、我が町の和田峠・星糞峠(ほしくそとうげ)をはじめとした霧ヶ峰・八ヶ岳一帯に密集しています。

■令和5年度 長和町青少年海外派遣交流事業『長和青少年黒耀石大使』 オランダ・英国渡航 ミッション達成報告
◇黒耀石大使 無事、任務遂行(にんむすいこう)
8月15日、長和青少年黒耀石大使14名が10日間にわたる海外派遣(はけん)の任務を終えて、無事帰国しました。
今回は4年越しの待ちに待ったオランダ・英国への渡航(とこう)でしたが、この間、研修を重ねてきた3期生と4期生の合同部隊が担(にな)った大きなミッション(任務)とは、次の4つです。
[1] シーボルトコレクションの中の黒耀石資料の計測調査
[2] 黒耀石と縄文文化のメッセージを英語で伝えるプレゼン
[3] 英語の石器づくりワークショップ開催
[4] ストーンヘンジでの英語によるプレゼンと石器づくりのデモンストレーション
コロナ禍やウクライナ戦争の影響で、いつもと異なる渡航ルートや移動手段を克服(こくふく)してのハードなスケジュールでしたが、皆が元気で帰って来た事に拍手を送りたいと思います。
今回の通信は、任務の様子をご報告します。

[1]シーボルトコレクションの黒耀石「ホシクソ」調査(オランダ ライデン市)
8月7日、江戸時代にシーボルトが収集した黒耀石の調査を、ライデン市にあるナチュラリス生物多様性センターの研究室で行いました。
このセンターには、動物の剥製(はくせい)をはじめ、数万点に及ぶ貴重な資料が収蔵され、2千人を超える研究者がいらっしゃるそうです。この日、調査のために提供された研究室でも、貝類の詳細分析を行っている研究者が顕微鏡(けんびきょう)での作業を進めていました。
われわれは総勢22名。他の研究者に迷惑をかけないように3人一組の班でローテーションを組み、コレクションの黒耀石資料26点について、そのサイズを計測して記録しました。
「ホシクソ」と書付のあった資料は、2点とも縄文人が加工したと思われる石器であることが判明したため、詳細な実測図も作成しました。黒耀石の産地については、昨年、東芝国際交流財団の助成を受けて分析調査を行い、全ての資料について判定済みでしたが、今回のような本格的な計測調査は初めての試み。大使達は大切に保管されてきた歴史資料を目の前にして緊張気味でした。
調査成果は、明治大学の研究紀要に発表する予定です。

[2]英語でのプレゼン
[3]石器づくりの指導
8月8日、一行はいよいよ英国へ。まずは、7年前に双子遺跡の協定を結んだフリント鉱山のグライムズグレイブス遺跡を訪問し、翌日からは、交流の窓口となっているエンシェントハウスミュージアムで、ティーンエイジヒストリークラブの新たなメンバーを対象に『黒耀石と縄文の心を伝える』英語でのプレゼンテーションと石器づくりのワークショップを開催しました。事前研修では、大学進学を機に長和町を離れた大使達もオンラインの参加で練習を重ねてきました。コロナ禍を超えて、新たな世代の友情が育はぐまれていきました。

[4]ストーンヘンジで黒耀石をアピール
8月12日、世界遺産としても有名な「ストーンヘンジ」では、日本の縄文文化を紹介する企画展が開催されていました。最後のミッションは、様々な国から訪れる来場者に黒耀石の魅力を伝えるというものです。
当初は、石器づくりのワークショップを提供する予定でしたが、急遽(きゅうきょ)、内容を変更し、パネル片手に長和町の黒耀石鉱山を紹介し、石器づくりの工程を英語で解説することになりました。
研修で学んだキーワードを頼りに、ほぼアドリブで、見学者の呼び込みから質問への対応も、という展開でしたが、「分かりやすい説明でした。」とお褒(ほ)めの言葉も頂きました。
規模は異なりますが、日本でも秋田県の大湯環状列石(おおゆかんじょうれっせき)が世界遺産に指定され、祭りの広場を立石(りっせき)が囲むストーンサークルとして知られています。9千キロも離れた英国と日本。直接の交流もなかった遠い昔に、時を同じくして、鉱山をはじめとして類似する遺跡が存在したことはとても不思議なことです。
人類はこの地球のどこかでつながっている。黒耀石大使の活動は、そんな絆を考える橋渡しになったのではないでしょうか。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU