◆本と人と出会うすてきな場
市立須坂図書館 文平玲子館長
「読書の秋ですね」。この季節になると、皆さんによく声をかけられます。
そんな時、私は「読書の季節は秋だけじゃありませんよ。本は、いつ、どこで読んでも楽しいんです」と、お答えします。
コロナ禍で閉じ込められたとき、私たちは、本を読んで過ごし、「本があってよかったな」と、改めて気付かされました。「活字離れ」が進んでいると言われていますが、まだまだ捨てたもんじゃありません。読書は最良のエンターテインメントのひとつなのです。
市立須坂図書館は小さな図書館ですが、使えるところは全て使って「本と出会う」しかけをつくっています。職員は、楽しみながら工夫を重ねています。その気持ちがコーナーに表れます。私たちは本の力を信じています。私たちがあきらめちゃだめですね。
長寿命化改修工事が終わる頃、利用者の方からお手紙をいただきました。「次は中身の充実ですね」と書かれていて、ああ、皆さんから見守っていただいているんだな、と、うれしさと同時に、公共図書館としての責任の大きさを感じました。
外の次は中。建物が整ったら、一段上のサービスへ。そんな声に導かれるようにして生まれたのが「りんごの棚」です。「りんごの棚」は、スウェーデンの公共図書館でスタートした、特別なニーズのある子ども向けのコーナーですが、市立須坂図書館では、「りんごの里 信州須坂の『りんごの棚』」と銘打って、子どもから大人まで、全ての人に読書の喜びを体験していただけるよう、さまざまな障がいに対応した本を集めています。
本は本を呼び、本は人も呼んでくれます。このつながりが、おはなしの会やブックリサイクル市、信州須坂どこでも図書館、デジとしょ信州になっているのだと思います。市立須坂図書館は、これからも、利用者の皆さんと「本」を通してつながり、「本」や「人」や「情報」との、よい出会いを提供する場所になっていきたいと思います。
秋の一日、本のまち信州須坂ですてきな出会いがありますように……。
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