◆須坂の良さは?課題は?何でもある?何もない?
土屋:以前高校生に話を聞いた時、「須坂には何もないからとりあえず東京に行きたい」という意見があって、少し残念でした。
市長:「須坂に何もない」と言うのは我々大人の責任でもあるんです。大人が何もないと言うから、子どもも何もないと思ってしまうのですよね。
土屋:外から来た人間からすると、「何でもある」と思います。危ない場所はないし、子育てもしやすいと思います。保育園や小学校では、自然の中、地域社会の中での体験活動も多くて、子どもたちはすごく楽しかったと言って帰ってくるので、そんな経験ができる須坂市はとてもいいなと思っています。
藤原:私も25歳まで神奈川県にいて移住してきたのですが、同感です。すてきな自然があり、果物も野菜もおいしい。スキーもできるし、温泉もある。魅力的な飲食店が多くて、スーパーもコンビニもある。総合病院も駅もありコンパクトにまとまっていて、都会過ぎず田舎すぎず、とても住みやすい場所だと思います。でも、須坂が地元の人は「須坂には何もない」と言う人が多い印象です。
平野:車を使えない高校生からすると、公共交通機関はすごく大事だなと思います。長野市の松代からバスで須坂高校に通っている友達がいますが、段々バスの本数が減っていて、帰りたい時間に帰れない状況もあるみたいです。今後もっとバスが不便になると、須坂市の高校に来たい人が通えなっちゃうんじゃないかと心配です。高校生は移動手段が限られているので、それが不便だと、地元にしかいられない感覚もあります。
藤原:今度できるイオンモールは、高校生目線ではどう見ています?
上田:放課後に学校の友達と行ったりできたらすごく楽しそうだと思うんですけど、やっぱり交通手段が問題だなと思います。高校生はどこかへ行きたいと思っても行けないことが多い。車があればどこでも行けるから何でもあると思うかもしれないけど、車がないとだいぶ不便なので、歩く人からすると何もないのかも。
藤原:確かにそうですね。世代が異なり、持っているものや環境が違うと、まちの見え方が大きく変わりますね。
平野:遊ぶ場所もあんまりない。
土屋:親世代はそこに安心しているかもしれない。高校生でも遊びに行かずに、夜10時には帰ってくる。
全員:(笑)
平野:でもやっぱり、高校生目線では遊ぶところがほしいです。
市長:高校生の遊ぶ場所というのはどんなところでしょう。
上田:coto2で高校生にアンケートをとったのですが、印象に残っているのはプリクラですね。
平野:須坂にプリクラを撮れる場所がないから、電車で長野まで行くんです。そうすると、プリクラ代と電車代が同じ位になる(笑)。
市長:プリクラを撮るために長野まで行くの?
上田・平野:行きます!
土屋:二十歳を祝う会の時も、メセナホールでの式典が終わった後、プリクラを撮りたいからってみんなで長野に行って、長野で打ち上げするんですよ。
平野:文化祭が終わった後も!
土屋:以前話を聞いた高校生は、須坂駅の近くにある証明写真の機械を1台プリクラ機に変えてほしいって言っていました(笑)。
平野:須坂って証明写真の機械が多くないですか?しかも、使われているのをそんなに見たことがない(笑)。
市長:そうなんだ。どこかにプリクラ機を置いてもらいたいですね。
上田・平野:ぜひ!
市長:他に課題など、いかがですか。
土屋:須坂が弱いと思うのは、やはり職ですね。私のように長野市へ働きに行くのも仕方ないと思うのですが、そうすると帰りが遅くなり、子どもを夕方からの習い事に通わせることが難しくなったり、習い事を優先するとフルタイムで働くのが難しくなったり。子どもの送迎などをお願いできるシステムがあれば、という話も主婦の間ではよく出ます。
上田:市でも子どもを預かったりするサポート事業はありますよね。
土屋:ファミリーサポートセンターですよね。託児も送迎もしてもらえるのですが、依頼に対して受けられる方を探すという手順を踏むので、どうしてもタイムラグが出てしまって。せっかくあるのですが、少し使いにくいというのが現状です。
市長:マッチングアプリを作るといいかもしれません。子育てや農業、介護のサポートなどの人材を求めている人が、その仕事を希望している人、できるよという人と直接やり取りできるような形に。
藤原:子育てという点では、遊具のある公園がもう少しあったらいいなと思います。須坂市動物園にはたくさんの遊具があるので、子どもを連れてよく行くのですが、他にもそんな場所が多くあればより大きな地域の魅力になると思います。
土屋:公園に関しては、日陰と駐車場の要望をよく聞きますね。
藤原:確かにそうですね。それと、雨の日でも遊べる屋内の遊び場も増えたら嬉しいですね。駅前の子育て支援センターは特に土曜日が人気過ぎて、私が子どもを連れて行きたいと思う時にはもう予約がいっぱいです。
市長:例えば、臥竜山公会堂の畳の部屋などはどうでしょう。
藤原:開放していただけたらとてもすてきだと思います。おもちゃや絵本を置いて。
土屋:夏に須坂双葉幼稚園の園長が臥竜山公会堂を3日間借りて、一番暑い時間帯を子どもたちの遊び場として開放してくださいました。対象は園の子限定でしたが、兄弟関係は来ても良く、保護者が子どもを見ているなら自由に使っていいよと。
市長:いいアイディアですね。使ってもらって本当にありがたいです。
土屋:使いやすかったですよ。
藤原:あるものを上手に生かしながら、ですね。
市長:良いと思うことも、私一人が呼びかけてもなかなか実現に向かわないこともあるので、ぜひ皆さんの当事者の声と力でどんどん須坂を良い方向にしていってほしいです。
貴重なお話をいただき、素晴らしい機会になりました。皆さんありがとうございました。
※土屋さんの「土」は環境依存文字のため、置き換えています。正式表記は本紙をご覧ください。
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