マイオピニオン 意見・私見

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■変わる風景、変えられぬ流れ
秋津地区　専門部員　木鋪智史

▽複雑な思い
二十数年前、新宿の紀伊國屋書店で目にした『NEWSWEEK　日本版』の表紙には、見慣れた菜の花と千曲川の景色が広がっていました。その上には、さらなる「高齢化日本」を予想する辛辣(しんらつ)なタイトルがつけられていました。最初は故郷の風景が有名雑誌の表紙に使われていることに誇りを感じました。しかし、次第に湧き上がったのは、どこか諦めに似た感情、そしてどこか憤りを含んだ複雑な思いでした。

▽静かに願う
蓮地区で育った私が遠い地で故郷を思い出したとき、心に浮かぶのは四季折々に美しい田んぼの向こうに静かに佇む田上山、そして直接は見えないものの、いつもそこにある千曲川の流れでした。変わるであろうその景観に、これも新陳代謝だ、地域・公共の安全とのトレードオフだと、自分に言い聞かせていますが、見慣れた風景が変わるのは残念で、あの複雑な思いが再びよみがえりました。新しい風景は意外と以前と変わらないのかもしれません。変わったとしてもやがて私たちの目にも馴染み、ひとつの思い出として刻まれていくのでしょう。それが誰かの記憶の中で、また新たな美しい景観として心に刻まれていくことを、静かに願っています。