■いま、第2青函トンネルが必要な理由(わけ)
講師:京都大学院教授 元内閣官房参与 藤井 聡 氏
11月2日、いまべつ総合体育館において、第2青函トンネル構想実現に向けた今別町推進会議(会長阿部義治)主催による特別講演会が開催されました。
この講演会では、都市計画や国土計画の専門家である藤井聡氏を講師にお招きし、青森県と北海道双方の経済活性化における第2青函トンネルの必要性とインフラ投資の重要性についての認識を地域の皆さんと共有し、機運を醸成させるために開催しました。
町内や近隣町村の方々や県議会議員、第2青函トンネル構想を実現する会を立ち上げている北海道福島町の副町長や議員も参加し、約150名が講演会を聴講しました。
講演会の冒頭では、第2青函トンネル構想実現に向けた今別町推進会議阿部会長から挨拶があり、「多くの皆さんにご出席いただきありがとうございます。福島町と今別町、共に青函トンネル工事で栄えていた昭和40年代から50年代の元気を取り戻すために連携を図り、実現に向けての機運を高めていきましょう」と熱い想いを語りました。
◇他の国なら何年も前に完成している
藤井氏は、「2本目のトンネルは他の国なら何年も前に出来ているくらい大事なものだ。莫大な費用がかかるから、今一本あるから、そんなの必要ないと考える人が多いと思うのも真っ当な感覚だと思うが、地域振興を非常に遅らせている原因である」と述べました。また、本州と四国は鉄路と高速道路、九州も鉄路と高速道路で本州と繋がっていることを例に上げ、本州と北海道を繋ぐ陸上交通が鉄路の一つだけでは、物流のコストと時間が掛かりすぎて、北海道は不利益を被っていると、参加者へ説明しました。
◇繋げば発展する~高速道路も必要
つくばエクスプレスの開業当初と、開業して10年後、多くのビルが建ったつくば市の航空写真を比較し、藤井氏は「できた時は何もない都市でも、鉄道で繋がれば発展します。奥津軽いまべつ駅周辺も、もっと停車する新幹線が増えれば周辺の開発は確実に進みます。新函館北斗駅の辺りも新幹線の駅が出来た後、莫大な投資が進んでいる状況です。投資によって魅力的なモノ、働く場所が増えれば人口減少も緩やかになります」と力説しました。今は新幹線しか通っておらず、過疎化が進んでいる地域ですが、新幹線が通っていない地域はもっと衰退していると話されました。
次に藤井氏は高速道路網が表示された日本地図をスクリーンに示し、インターチェンジ周辺から車で30分以内の場所が発展していることから第2青函トンネルには自動車を通すことにより、必然的に高速道路も必要になります。そうすれば北海道も青森県も利便性の向上に繋がると示しました。
◇国土強靱化へ
最後に第2青函トンネルの意義について説明しました。道南と津軽半島が発展すれば、周辺の人口が増え、分散型国土による国難災害の際の被害軽減や、物流の活性化による青函の一次二次三次産業の強化、食糧自給率の向上にも繋がると講演会を締めくくりました。
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