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【けやぐ と わ! 】番外編(5)「お互い様」ってどんなもの?

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青森県今別町

■「お互い様」の歴史
かつて日本の集落には、「結(ゆい)」と呼ばれる助け合いの制度がありました。「結」とは、労働力を交換し合い、田植えや屋根葺きなどの大きな労力を必要とする作業を一緒に行う労働形態のことを指し、労働力で助けてもらった分を同じように労働力でお返しすることが前提の制度でした。共に汗を流すという共同体の性質が色濃く表れた制度であったと考えられます。さらに、労働力のやりとりは主に口約束で行われていたとされており、かつての地域社会の結束の強さが読みとれます。
貨幣によって商品やサービスを取引する貨幣経済の浸透により、農作業に関しても人を雇ったり、家族の協力で完結するような規模にとどめるようになったりとその体系は大きく変化しました。労働力を労働力で返すという「結」の制度は、現代社会の発展と共に消失しつつあるとされています。しかし、現在でも「結」が残っている地域もあり、飛越地方の白川郷・五箇山の合掌造り集落では茅葺き屋根の葺き替えを「結」を行う組織である「合力(コウリャク)」を中心に行っています。沖縄県にも「ゆいまーる」もしくは「いーまーる」と呼ばれる「結」の習慣が残っています。

■現代社会と「お互い様」
国は、あらゆる人たちが役割をもって、お互いに支え合いながら豊かに生きていくことのできる地域を目指しています。そんな地域が実現するために必要な要素の1つが「パートナーシップ」です。地域の主人公は、その地域で暮らす住民の皆さんです。そんな皆さんが地域社会に参加して、地域をよりよくする活動をしたり、同じ地域に住む人々と関わりを持ったりすることが大切とされています。
地域の福祉を考えるとき、「地域に悩みを抱える人が1人居たときには、その人と同じような悩みを抱える人がその地域に10人隠れている」という考え方をします。言い換えると、一人ひとりの問題を私たちの暮らす地域の問題として考える必要があるということです。お互いにできること・できないことを理解し合ったうえで、よりよい地域生活のために何ができるか・何が必要かを考えてみることが現代社会では大切です。

■今別町の「お互い様」は?
「結」は社会の変化と共になくなっていきましたが、お互い様の考え方・やりとりは皆さんの身近なところにまだまだ生きているのではないでしょうか。隣近所とのおすそわけ、買物や通院の手伝い、「結」と同じように田植えなどの農作業を手伝っているなんてことも今別町にはあると思います。助けてもらったら何かお礼をして、ということを繰り返し、今別町の強い絆がうまれてきたのではないでしょうか。

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