私はこれまで、財政の健全化・持続可能な財政運営の確立を最優先課題として町政運営に取り組んでまいりました。議員各位及び町民の皆様方のご理解とご協力を賜りながら、職員と一丸となって取り組んだ結果、財政健全化団体から早期に脱却しましたが、その後も喫緊の財政需要による負担増を見据え、第三セクター等改革推進債の一部繰上償還を行うなど着実に債務の償還を重ねてまいりました。こうした取組みにより、健全化判断比率等の財務指標上は問題ない水準となってきましたが、今後も厳しい財政運営となることが想定されることから、引き続き公債費負担の軽減等を図りながら、必要な財政需要に備えてまいる所存です。
町立大鰐診療所につきましては、コロナ禍の影響で建設及び開所に遅れが生じておりましたが、昨年10月1日にようやく開所することができました。病院から診療所へと形態は変わりましたが、これからも町民の皆様が安心して暮らしていけるよう、地域の医療施設等との密接な連携のもと、皆様の健康を守り、生活に寄り添う医療を目指してまいります。
また、役場庁舎建て替えの検討につきましては、昨年度に役場内の推進本部及び外部委員による検討委員会を立ち上げ、基本構想・基本計画の策定を進めてまいりました。しかしながら、コロナ禍からの需要回復に伴う需給逼迫や、世界の不安定な社会情勢が重なったことで、建築費の急激な高騰に直面し、全体事業費や毎年度の負担額が当初の想定を大きく上回ることが判明いたしました。そこで、苦渋の決断ではありましたが、財政事情を考慮し建設事業の実施時期を見直すことといたしました。今後も住民サービスの維持・向上を図りつつ、他の町有施設等の財産の維持管理を行いながらも、庁舎建設事業の早期実現に向けて、より一層の財政基盤の確立に取り組んでまいる思いであります。
第6次大鰐町振興計画につきましては、未来に希望を持つことができるまちづくりを町民の皆様と共に推進し、将来にわたって継続的な成長を維持していく指針として、「わになってみんなポカポカ大鰐町」を町の将来像に掲げて、昨年3月に策定しました。近年の人口減少・少子高齢化の進行に加え、コロナを経験したことによる新しい生活様式への変化、資源価格の上昇や円安の進行による長引く物価高騰など、これまで経験したことのない時代への転換期を迎えております。行政需要が複雑多様化する中、町といたしましては、合理的で機能的な行政運営に努め、引き続き財政規律を堅持し、効率的で効果的な財政を推進してまいります。加えて、人口減少の克服、町の主要産業である農業を主体とした事業承継、産業振興及び観光振興、新設した「わにLINE」をはじめ行政事務のデジタル化の推進など、今後も積極的に取り組み、厳しい社会情勢の中にあっても、本町の魅力を最大限に生かしつつ、将来にわたって持続的な成長を維持してまいる所存です。
これからも「安全・安心」に「健やか」で「心豊か」な暮らしができ、町民一人ひとりが繋がり大きな輪になることで、皆様が「温かい」と感じ、そして「住みたい、住み続けたい」と思っていただけるようなまちづくりを、議会と連携しながら職員と一丸となって進めてまいりますので、引き続き町民の皆様のご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
大鰐町長 山田年伸
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