■障がいという「個性」を持つ天才アーティスト
集中力がなくじっとしていられないなどが特徴の発達障がい「ADHD」と、文字が読めない学習障がい「ディスレクシア」の2つの障がいを持つアーティスト、GOMAさん。油性マーカーで細部まで描くアートは、国内外多くのファンを魅了します。弘南鉄道(株)の協力のもと、弘南鉄道田舎館駅にアート作品「ART STATION(アートステーション)」を展開するほか、村博物館で「GOMA展2」を開催するなど、田舎館村にアート旋風を巻き起こしています。
今月号では、GOMAさんの魅力を様々な視点から紹介します。
○アーティストになろうとしたきっかけはありますか
元々、絵を描くのが好きで、趣味で絵を描いていた程度でした。最初からアーティストになろうと思っていたわけではなく、短大卒業後は弘前市で男性保育士として働いていましたが、23歳のとき、ふと絵の勉強をしたいと思って秋田県の美大に入学しました。勉強が嫌いで、学校の授業中は寝てばかり、テストでは赤点を取るくらい勉強が嫌いの自分が「勉強したいと思えたからには、何かがあるはずだ」と思い、アーティストの道に進むことを決めました。
○作品の発想はどこからきますか
細かな設定などを決めず、おおざっぱに作品の全体像を思い浮かべながら、その場その時に沸き上がったインスピレーションやイメージで描いています。
○制作時のテーマなどはありますか
大きなテーマとして「ファンタジー」に重きを置いて、風景画やありのままを写し出す写実的な作品ではなく、子どもから大人まで楽しめる、誰も見たことがない世界、ファンタジーな世界観を出せるようなアートを制作しています。
○最近制作した作品で思い入れのある作品はありますか
京都が好きで、旅行の際によく天井画などを見に行き、いつか迫力のある龍の絵を描きたいなと思っていました。ただ、画力がついてこなかったり、昔ながらの筆づかいを表現できず今まで避けていましたが、今年は辰年ということもあって、思い切って龍の天井画を制作しました。長いアーティスト歴の中でも、初めて挑戦した龍の作品なので思い入れが強いですね。
○2つの障がいが作品に与える影響はありますか
発達障がいがあることで、細部までこだわって絵を描くことができていると思います。また、自分の作品にはよく「書」、文字を書くことがありますが、ディスレクシアの影響で文字が図形化して見えているため、自分にとって文字を書くことは、絵を描くことと一緒なんですよ。よく書道家の先生たちからは「とめ」、「はね」が独特で、文字にも世界観があると言われます。
発達障がいだからこそ細かな絵が描けるし、文字がうまく読めないからこそ「書」が面白く描けるのかなと思います。
○全国の特別支援施設や特別支援学校などでボランティアワークショップ「次世代のGOMA発掘プロジェクト」を始めたきっかけは何ですか
自分がアーティストとして生活できるようになり、浮いたお金の使い道をどうしようかと考えたときに、次世代の子どもたちの育成に使おうと決めました。そこで、特別支援学校や支援施設の子どもたちがとても面白い絵を描くことに注目し、アートでその子どもたちの脳を刺激して、より面白い発想や作品制作をしてくれないかなと思ったり、アートに興味を持ってもらって、アーティストというものを知ってもらおうと考え、ボランティアのワークショップを始めました。
○GOMAさんにとってのアートとは
僕の人生を変えてくれたものです。自分が満足する作品は年に数本しかなく、後から「もっとこうすれば良かった」と思ったり、技術が伴わなかったりと悩みながらも、色々な技法などを勉強し、GOMAのアートは日々進化を続けています。
○今後の夢や目標はありますか
元々、美大を卒業してアーティスト活動をスタートするときに「世界一を獲ろう!」と決めていたので、世界一のアーティストになることが夢です。今後は世界で活躍できるアーティストとなり、海外で展示会を開催していきたいと思っています。
■Check! 「GOMA展2」開催中!
日時:5月6日(月・祝)まで
場所:田舎館村博物館
料金:
一般・大学生…800円
高校生以下…500円
未就学児…無料
※障害者手帳をお持ちの方と15人以上の団体は100円引きとなります。
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